茨城県を本拠に巨大ホームセンターを展開するジョイフル本田。2019年6月21日には細谷武俊氏が新社長に就任した。伊藤忠商事(大阪府/鈴木善久社長)出身で、オフィス用品販売のアスクル(東京都/吉岡晃社長)や酒類販売・卸のカクヤス(東京都/佐藤順一社長)で手腕を振るった細谷氏はジョイフル本田をどのように舵取りするのか。2019年6月期決算説明会での細谷新社長の話をまとめた。
<プロフィール>
1964年12月1日生まれ。1988年4月伊藤忠商事入社。2000年5月アスクル執行役員。09年4月カクヤス代表取締役副社長、16年6月SKYグループホールディングス代表取締役社長。16年9月ジョイフル本田社外取締役、18年1月取締役、18年7月代表取締役専務、18年9月代表取締役副社長を経て、19年6月代表取締役社長就任
アスクル、カクヤスで
手腕を発揮
私は1988年に伊藤忠商事に入社し、鉄鋼・建材と流通小売事業に携わってきた。1999年にアスクルに入社。当時はまだ売上高が200億円くらいで、毎年倍々で成長しているベンチャー企業で、営業のトップを経験した。
その後、カクヤスで約10年間、COOとして事業を牽引し、グループ再編を進めた。そして、16年9月にジョイフル本田の社外取締役に就任した。
昨年、常勤役員になり、ホンダ産業というグループ会社のアートクラフト事業の社長を務め、今年6月にグループ全体の社長に就任した。
最強最大の
セレクトショップへ
これからの経営方針として、「商販合一」を徹底的に推進する。これまで商品と販売に別々の役員がいて、連携がやや乏しくなっていた。私自身がプロジェクトマネージャーになって、ぐいぐい引っ張っていく。
また、「逆張り経営」による変革を起こす。昨今、SPA(製造小売)モデルが増えてきている。そのなかでジョイフル本田はあえて、最強最大のセレクトショップをめざす。「これからも変えないこと」、「もう一度立ち返ること」、「徹底的に変えていくこと」の3つを洗い出し、何かちょっと変わったユニークな会社にしていく。
就任初日に
組織変更を実施
社外取締役としてジョイフル本田に入ったときから、組織の壁があり、硬直化していると感じていた。そこで社長就任と同日付けの組織変更を発表した。商品部はハード、ソフト、ガーデン・ペットという3部門から、ハードとソフトの2部門に変更。営業は、それまでの3つの統括エリアを廃止し、全15エリアを一括で管理できるようにした。これにより、意思決定を迅速化し、改革をスピードアップさせる。
商販合一に取り組むため、商品企画部も新設した。本部のMD(マーチャンダイジング)機能を強化し、52週の販促を推進する。販売については、トップダウンとボトムアップを融合させ、私がプロジェクトマネージャーとして、拠点戦略を再構築する。
これらの取り組みにより、KPIとしては、買い上げ点数と一品単価の上昇に力点を置く。客単価を高めることで、客数減を補う。
ホームセンター業界はかなり同質化が進んでいる。私の仕事は、「ジョイフル本田」という業態をつくること。リアル店舗のおもしろさを徹底追及し、世界ナンバーワンの「エンターテインメント・リテイラー」をめざしていく。