ハローデイ加治敬通社長が「アメリカのスーパーを手本にするのはベストではなくなった」と考える理由
PCプロジェクト始動!
──新たに計画しているPCについて教えてください。
加治 当社SMは、生鮮食品を強化した品揃えが特徴で、それを行うための重要な手法がインストア加工です。店内で素材を加工することで、鮮度劣化を極力抑えた商品を提供できます。しかし商勢圏では競争が激化しており、コストを低減した運営が不可欠になってきています。
10年ほど前、競合各社がPCを取り入れたのを見て、当社も検討したことがあります。しかし当社の強みである鮮度という武器を手放すことになると考え、踏みとどまりました。今回、雇用環境の変化も鑑み、当社も導入することに決めました。すでに用地は確保してあり、3年後の稼働を目標に準備を進めています。
──PCはどのように活用する考えですか。
加治 プロジェクトはスタートしたばかりで、あくまで計画段階ですが、PCを使い、ローコストで豊富な品揃えを維持していきたい。
また豚肉や鶏肉はPCで加工し、付加価値があり、競争優位性につながる牛肉は店内で加工するなど、メリハリをつけながら活用していく考えです。
──PCとインストア、それぞれのいいところ取りをめざすわけですね。
加治 プロジェクトのメンバーに話しているのは、同じPCを導入するにしても、工夫とアイデア次第では、他社とは違う鮮度感ある商品をつくれる施設になるはずだということです。当社は、九州で最も鮮度感ある商品を提供し、支持されているSMだと自負しています。そのノウハウを生かすことで、他社にはマネのできないPCをつくりたい。「自ら考え行動する企業風土」は定着しつつあり、皆が知恵を出し合うことで実現は可能だと思います。
福岡市中心部で出店
──今後、どのような出店政策で臨みますか。
加治 近年、当社が標準フォーマットとしているのは、売場面積400坪のSMです。店があるのは福岡県、熊本県、山口県ですが、今後は人口が集中する福岡市中心部を主な出店エリアとして考えています。
出店形態は、集客面から単独店では難しい時代ですから、自らが近隣型ショッピングセンターなど複合商業施設を開発しテナントを誘致するほか、大型商業施設へテナントとして入るかたちを想定しています。
──そうした立地は、全国的にも奪い合いの様相です。
加治 ええ。福岡県でもすでにオーバーストアで、よい立地はすでにどこかの企業が押さえています。その中、出店を続けようと思えば、これまでの規模のSMだけでは成長は難しく、小型化も視野に入れています。具体化していませんが、30~50坪程度の小型SMも検討する価値はあると見ています。
──小型店で、既存のドミナントエリアを強化するのですね。
加治 その場合、都市部で需要の大きい、料理のセットを充実させるのも一案。将来、稼働するPCを使って、「個食」「簡便」商品を加工することも可能です。詳細はこれからですが、各従業員が自ら考え行動することで、競争力あるSMの新フォーマットを構築できればと構想を練っているところです。
──最後に、消費増税後の対応について教えてください。
加治 増税後、異業種を含めた競争がさらに激化するものと見ています。中小のSM各社は資本金を5000万円以下に減資し、キャッシュレスポイント還元事業の対象企業となることで当面の影響を抑えようとしています。当社も6月11日時点で資本金は5000万円ですから、その対象です。この激変の環境を生き抜きながら、今申し上げた戦略を着実に実行していきます。
ハローデイ会社概要
設立 | 1958年 |
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資本金 | 5000万円 |
本部所在地 | 福岡県北九州市小倉南区 |
売上高 | 833億7400万円(19年3月期) |
店舗数 | 54店舗 |