最近、日本から撤退したファストファッションが再上陸、既にポップアップストアも始まり、4月には本出店も果たすと言う。では、このファストファッションの成功要因とそれを誘致するショッピングセンター(SC)が注意しなければならない事象について今号と次号で解説したい。
成功するファストファッションの共通項
ファストファッションとは、「流行をいち早く取り入れ,それを安く提供する衣料販売チェーンとそのファッション」と表現されるようだが、日本での歴史を振り返ると、GAP(1995)、ZARA(1998)、H&M(2008)、Forever21(2009)、アバクロンビー&フィッチ(2009)、アメリカン・イーグル・アウトフィッターズ(2012)、GAPの一部門であるオールド・ネイビー(2012)あたりがその代表格と言われる。
しかし、GAPが日本進出した1990年半ば、ファストファッションという言葉を耳にすることはなく、H&MやZARAが進出した2000年代あたりから聞かれるようになった。
それにともないユニクロなどもこの中の一つに数えられるようになっている。当の本人たちがそれをどう感じているのか分からないが、その多くはSPA(製造小売)業態である。
成功を収めるファストファッションにいくつか共通項がある。それは、①紳士服婦人服子供服を扱う家族向けアパレルであること(ファミリー業態と呼ぶ)、②カジュアル(日用)衣料であること、③リーズナブル(低価格)プライスであること、④少しの差別化を施していること、⑤世界が市場であること、この5つである。
老若男女、オールターゲット、少しの差別化
H&MやZARA、日本ではUNIQLOやGUや無印良品、これらブランドはサイズさえ合えば年齢に関わらず老若男女が着ることが出来る。そして一部のスーツなどを除き、数百円~2万円程度のインナーウェアから普段着など日用衣料を含むカジュアルな装いを中心に商品を構成する。
そして、そこにはブランド毎の少しの差別化が施されている。「いや、ZARAとH&Mはテイストが違うよ」「UNIQLOと無印良品は色目が全然違うよ」と指摘されそうだが、実際にそれぞれの店頭に並んでいるTシャツ、ポロシャツ、ブラウス、ジャケット、コートを家で並べて、どれがどのブランドなのか言い当てることは出来るだろうか。ここにIYの商品を入れてもいい。
しかし、店舗に行くと全然違う商品に見える。ここが彼らの秀でたところだが、一部のコンセプチュアルな商品、カテゴリーのバランス、差し色の商品、店舗内装やファサードデザイン、店頭のVPなどVMD、什器、製造過程におけるこだわりの説明、強烈な匂い、音楽など顧客の五感に訴えることでブランドイメージを形成する。ここにファンとなり顧客化が進むのである
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