二宮涼太郎社長に直撃!オーケーが消費者から支持される理由とそのための戦略
全国でも競争の激しい関東エリアで、ニールセン・カンパニーが実施した「小売業ブランドパワーランキング」において最も高いスコアを出した食品スーパーが、「高品質・Everyday Low Price(エブリデイ・ロープライス:以下、EDLP)」を掲げるオーケー(神奈川県)だ。顧客の支持を得るためにオーケーが行っていることとは何か。そして今後、どのようなことに力を注いでいくのかを二宮涼太郎社長に聞いた。
(本調査およびランキングはダイヤモンド・チェーンストア6月15日号特集で掲載しています)
低価格だと消費者の買物が楽しくなる理由
──小売業態別のブランドパワーを評価した今回のランキングで「オーケー」は関東エリアで第2位、食品スーパーとしては同エリアで第1位となりました。とくに、ブランドパワーへの貢献度が高い「買物が楽しい」「価格の割に品質がよい」「商品を見つけやすい」「セールの内容がよい」という上位4項目すべてにおいて、消費者からの評価を得ています。
二宮 ありがたいことですね。「買物が楽しい」という項目については、当社の場合、低価格であることが買物の楽しさにつながっているのではないでしょうか。私もオーケーで初めて買物をした時に「この商品がこんなに安いのか」と興奮したことを覚えています。
なかでも評価されて嬉しいのは「価格の割に品質がよい」という項目ですね。当社は、毎日、高品質な商品を他社よりも低価格で販売するという「高品質・EDLP」を追求しているので、それがこの結果につながったのではないでしょうか。
──「商品を見つけやすい」という点でも支持されています。
二宮 オーケーの売場はワンウェイが基本です。回遊性を高めるために入り組んだ売場配置をされているSMもありますが、当社は低価格を実現するために、無駄をそぎ落としたシンプルな店づくりを行っています。同時に、お客さまが売場を見た時に何を選んでいいか迷ってしまわないように、取り扱う商品の絞り込みも行っています。
──商品を絞り込んでいながら、「必要なものが揃う」という点でも評価を得ています。
二宮 商品を絞り込む際には、それぞれの機能をしっかり見極めて、お客さまにとって必要なカテゴリーがなくならないように注意を払っています。ナショナルブランド商品の品揃えでは他社よりも割り切って絞り込んでいる部分がありますが、大量仕入れによる低価格を実現するためでもあり、お客さまにはご理解をいただけているように感じています。
また、オーケーは食品だけでなく非食品についても「高品質・EDLP」という経営方針にのっとり、とくに日常的に使う消耗品は、競合店の本体価格と当社の本体価格が同額になるように値下げする「競合店対抗値下げ」を徹底しているのでその部分でも評価を得ているのかもしれません。ただ、まだ改善すべきところは多くあるので引き続き努力して参ります。
多少不便な場所でも来店してもらえる店をつくる
──一方、「店舗が便利な場所にある」という項目では、残念ながらお客は高く評価していないようです。
二宮 確かにオーケーは便利な立地にはないと思います。便利な場所は当然、競争が激しく賃料も高いです。出店する賃料の基準は厳しく設けており、あまりにも賃料の高い場所へ出店するくらいであれば、商品をはじめとした店自体の魅力を高めて、多少不便でもお客さまにお越しいただける店になることをめざしています。
──そうしたなか近年は年間10店前後のペースで店舗数を拡大し、東京23区内への出店を強化しています。
二宮 オーケーは、国道16号線内側への出店を戦略としています。このエリアだけでも出店できていない場所はまだまだあり、自社店舗の商圏と被らず、オーケーの認知度がいまだ低いエリアに積極的に出店をしていきたいと考えています。
人口密集地をねらっているため、近年は東京23区内で小型店のオープンが続いていますが、郊外立地で広い駐車場を備えた大型店も大きな売上が獲得できますので、双方をバランスよく出していきたいですね。
──お客に選ばれるために何か販促面で工夫していることはありますか。
二宮 オーケーは徹底して無駄を省いて低価格を実現していくという方針で、プロモーションに積極的に資金を投じるという考えはありません。ただ、5月中旬から新たにTwitterでの商品やサービス情報の配信を始めました。オーケーは販促策の1つとして、「情報紙」という商品情報を掲載したチラシを新聞に折り込むほか、店頭に設置しています。しかし、最近では新聞を購読しない方も増えているので、そうした層の方にも情報を届けられるようにしていきたいと考えています。
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スマホ決済の導入が来店動機の創出に