プーマの「プロスニーカー」 一般価格の3倍でもプロの職人が「安い」と感じるワケとは?
日本独自モデルの開発にこだわり、高価格プロスニーカー市場参入に成功
プーマが欧米向けに作ってきたプロスニーカーは、頑丈なブーツやミニタリーシューズを元に誕生していることから、安全性が高い一方で、とにかく重いのが特徴だ。一方、日本人がもとめるのは、とにかく「軽さ」。欧米モデルをそのまま日本に持ってきても、こだわりの強い日本人に受け入れられるとは考えにくい。
藤田氏は、「ドイツの担当者と日本人がこだわる細かい部分を伝えて共同開発を行い、何度もやり取りを重ねて今の『プーマセーフティ』が誕生した」と話す。
実際、日本モデルは欧米モデルとは開発経緯がまったく異なり、日本基準の安全性を担保しつつ、軽くて疲れにくい運動靴に先芯を入れるという考え方から誕生している。
「プロスニーカーの第一条件はつま先を保護することだが、ランニングシューズそのものに先芯を入れようと思っても当然入らない。幅をワイドにして足に先芯が当たりにくく工夫しながら、いかに見た目をランニングシューズのように細身でおしゃれに見せるかを考えた」。
実は、スポーツブランドとして日本で最初に安全靴市場に参入したのは、アシックスである。アシックスが1万円前後で性能にこだわったプロスニーカーの販売を開始し、値段は高くても「疲れにくい」「履き心地がいい」プロスニーカーが人気を集め、2010年頃から高価格帯の商品が売れ始めた経緯がある。ユニワールドはそのタイミングでプーマセーフティとライセンス契約を結び、高価格帯のプロスニーカー市場に参入した。