新たな商勢圏への出店を加速!「全員参加型経営」でさらなる成長へ=ハローズ佐藤利行 社長
総菜、PBの開発を強化、価格競争力も高める
──商品政策について、現在とくに力を入れている取り組みはありますか。
佐藤 やはり、全国的に需要が拡大している総菜については強化しています。直近の実績では、全店売上高に占める総菜の売上高構成比は14%で、この5年間だけで1~2ポイント上昇しています。なかには構成比が15%を超える店舗も複数出てきました。
有職女性の増加、高齢化といった社会環境の変化は今後ますます加速していきます。そのなかで即食・簡便性の高い総菜のニーズも高まる一方です。お客さまにとって魅力的な商品をさらに増やしていけるよう取り組んでいきます。
──具体的にどういった商品の開発を強化していますか。
佐藤 重点的に開発を進めているのは魚総菜です。7月に開業した「西二見店」(兵庫県明石市)から、「魚魚庵(ととあん)」の名称で店内調理の魚総菜シリーズの販売を始めました。鮮魚そのものはダウントレンドですが、決して魚を食べなくなったわけではなく、すぐに食卓に並べられる商品は売れています。
このほかにも、レンジアップの商品や、店内のグリルで焼き上げた洋風メニューの総菜「ハログリ」の販売も順調で、今後ラインアップの拡充を進めていく考えです。
──プライベートブランド(PB)の「ハローズセレクション」の開発についてはどう進めていきますか。
佐藤 ハローズセレクションは当社を特徴づける商品であり、今後も積極的に開発を進めていきます。
現在約900アイテムを展開しており、毎年約100アイテムの新商品を投入すると同時に、既存商品の改廃も進めています。売上高は年々増加しており、直近の売上構成比は約10%に上っています。今期中には1000アイテムまで増やす計画です。
──DgSやDSなど価格を強く打ち出す競合が増えるなか、価格政策についてはどのように考えていますか。
佐藤 価格というものは、お客さまにとって買物する店を選ぶ重要な基準の1つであることは間違いありません。そのため、購買頻度の高い商品については原則として、競合するSMやDgSの価格に極力合わせる方針です。各店舗の競合状況や商圏特性を詳しく分析しながら、価格競争力も磨いています。
物流整備、人材確保が課題
──経営面での課題はありますか。
佐藤 1つ大きいのは物流です。とくに、現状のセンターを中心とした効率化および長期ビジョンを見据えたセンター設置計画を進めていきます。今後さらに店舗網を拡大していくうえでは、こうした物流インフラのさらなる増強が重要な課題となっていくでしょう。
──全国的に人手不足に苦しむSMが多いですが、人材確保の面で課題はありませんか。
佐藤 当社も例に漏れず、とくに新卒者の確保に苦戦しています。それに対し、働き方改革や処遇改善といった人事制度の整備などに現在取り組んでいるところです。
また、自動発注システムやセルフレジの導入、店舗作業のさらなる標準化など省力化や生産性の向上につながる施策も強化しています。
──最後に、瀬戸内商勢圏180店舗3000億円構想を実現するにあたって、その舵取り役として意識していることを教えてください。
佐藤 長期ビジョンを実現するうえで重視しているのは、「全員参加型経営」です。その一環として、定期的に各店舗に足を運んで従業員と会話し、会社の現状や考え方を直接伝えるようにしています。全店24時間営業ですので、ときには深夜の時間帯に訪店することもあります。その際には、「皆さんの努力が利益拡大につながりました」など、全員がハローズの経営に参加しているのだと実感できるような話題を選んで発破をかけています。
今後も「全員参加型経営」を追求しながら、「瀬戸内商勢圏180店舗3000億円構想」の実現に向け、全力を注いでいきます。