高い増収率で2018年度売上高4000億円規模に=オーケー二宮 涼太郎 社長
国内食品スーパー(SM)で今、最も勢いのある企業の1つと言えるのが、「高品質・Everyday Low Price(エブリデイ・ロープライス)」を掲げるオーケー(神奈川県)だ。国道16号線の内側への出店を基本戦略とするなか、数年前からは東京23区内への出店を加速させている。オーケーの現在の取り組みや今後の成長戦略を二宮涼太郎社長に聞いた。
「見積合わせ」が売上アップに貢献
──2019年3月期の中間期決算では売上高が1943億円(対前年同期比10.2%増)、営業利益が86億円(同31.4%増)と2ケタ伸長を遂げました。通期では4000億円規模に迫る勢いです。
二宮 19年3月期は4000億円前後のペースで推移しています(注・インタビュー実施は2月中旬)。オーケーが最も重視する指標は売上高です。これを向上させるべく、18年3月期は第一に商品を見直しました。また18年4月には、当社では長らく行っていなかった取引先さまとの「見積合わせ」も行いました。単品ごとに最も低価格を実現できる取引先さまを選ぶことで、原価を低減し、それを原資に売価を下げてお客さまに還元しました。その結果、既存店売上高は同4.1%増と伸長したほか、新店の業績も好調に推移し、前年同期を上回る成長を実現できました。
判断基準は「価格」と「味」
──商品の見直しはどのように行ったのですか。
二宮 ナショナルブランド商品の価格訴求を強めるとともに、オーケー独自の商品の開発も進めています。
とくに今年1月から販売する「ノルウェー産 旨い塩さば」(5kg/30枚サイズ1枚174円:以下、税抜・会員現金払い価格)は一押しの商品です。鮮度や素材のうま味を維持するために、産地で凍結させて一度も解凍せずに店舗まで運ぶ「ワンフローズン」にこだわりました。オーケーのほかの塩さばと比べて高い価格帯の商品でしたが売上は好調です。「おいしいものは売れる」ということが証明された事例となりました。もちろん、商品の売価を上げようとしているのではなく、お客さまに価値のあるものを少しでも安く提供していきたいと考えています。
お客さまが最終的にSMに求めるものは高い商品力でしょう。当社では「価格」と「味」を判断基準に、他社では簡単に真似できない商品の開発をめざしています。
──青果売場では、POPを活用して商品のこだわりや生産者を紹介するといった、新しい試みを始めています。
二宮 オーケーは生産者さまと長年かけて信頼関係を構築することに努めてきました。そのため、たとえ不作の時であっても優先的にオーケーに商品を提供して下さる生産者さまもいらっしゃいます。
そして今、生産者さまとのつながりをいっそう強くすることで“共存共栄”を図り、厳しい競争を勝ち残っていきたいと考えています。香川県産ブロッコリーや群馬県嬬恋村産キャベツなど、長年お取引している産地の生産者さまを私も直接訪問させていただき、商品のこだわりや生産するうえでのご苦労を伺い、それをお客さまにも伝えられるように、POPで売場での情報発信に努めています。
よりよい商品を届けるためには、生産者さまと小売が直接つながっていくことも大切です。生産者さまによっては、市場を介さず、オーケーと農産物のお取引をさせていただいており、こうした取り組みをできるだけ増やしていく方針です。
──有職女性の増加や高齢化などを背景に、即食商品である総菜のニーズが高まっています。
二宮 当社はグロサリーが売上高全体の約7割を占めており、総菜・ベーカリーの売上高構成比は相対的に低くなるため現在では5%強ほどですが、今後はより高めていきたいと思います。
18年8月には組織変更を実施し、総菜・ベーカリーは私が管掌するようにしています。前述の「旨い塩さば」を使った弁当といった、店頭で販売する素材を総菜としても提案できる商品を増やしていきます。
ベーカリーは、高い専門知識を有するバイヤーが商品を開発しています。これからは粉から生地を捏ねる店内製造の商品を増やしていきたいと考えています。たとえば19年1月には、特徴のある国産小麦を使って小麦の風味とうま味を引き出した「小麦の極み食パン」(1斤154円)を発売し、支持を得ています。