コロナ禍により人々の行動が制限され、店舗は休業や時短、酒類の提供も禁止された。
今や世界一の感染者数となっている日本においてそれらの規制がどれほどの効果があったのか非常に疑問だが、ショッピングセンター(以下、SC)で今、問題になっているのは営業不振による退店したテナントの空き区画である。今後、この空き区画に新たなテナントを誘致する方法は何か。それと同時にテナントリーシング力とは一体何を指すのかについて、今回は考えていきたい。
SCは、高い賃料を払うテナントが優先されるわけではない
SCは不動産業であり高い賃料のテナントが優先されるのかと思いきやそうでもない。
むしろ、1階のエントランス区画という高額は賃料を設定できる区画ほど他の区画に比べて低いことも珍しくない。その理由は、エントランスには「このテナントが相応しい」と(勝手に)思いこみ低廉な賃料を提示することが起因する。1階エントランスには、入館者を増やすための人気テナント、施設のブランド認知アップのための高単価ブランド、またはセレクトショップ、その他、店頭を華やかにするための花屋や化粧品などテナント誘致する側の意思で特定のテナント誘致を目指すわけだが、この手法だとどうしても賃料に下方圧力がかかる。なぜならSC賃料は需給のバランスで決まる物価であり(図表1)、「このテナントじゃなきゃダメだ」と思えば思うほど賃料は低下する。時折、「なぜ、あの場所よりうちの賃料が高いんだ、不公平じゃないか」という指摘もあるが、残念ながら賃料は物価であり需要と供給の一致する点で決まるため、双方合意がなされた賃料は“法的正義が実現”されたとみなされる。
賃料を下げるのは、こだわりと思い込み
地方駅ビルの1階エントランスには大手セレクトショップのファミリー向けデュフュージョンブランド(セカンドブランド)が出店していることを散見する。駅乗降客がそれほど多くない地方駅でアパレル店舗を改札階に置くことにどれほどの意味があるか分からないが金太郎飴のごとく同じブランドである。駅は毎日利用するデイリー性の最も高い場所。そのデイリー性の高い場所では買い上げ頻度の低いアパレルより、日常性の高い食料品に顧客ニーズがあると思うが、駅ビル事業者はそのディフュージョンブランドを誘致する。
結果、
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