新規出店、M&Aを積極的に進めて売上高1000億円体制をめざす=さえきHD 佐伯行彦 社長

聞き手=下田健司 構成=小木田 泰弘(ともにチェーンストアエイジ):下田 健司
構成:小木田 泰弘 (ダイヤモンド・ドラッグストア 編集長)
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──SM事業各社は独自にMDを組み立てているのですね。一方、SM事業会社同士は営業施策で連携していないのですか。

佐伯 SM事業会社の社長と商品部のメンバーが月に1回集まって売れ筋商品や「食」にまつわるトレンドなどの情報交換をしています。

──各SM事業会社は東京都、茨城県、山梨県、島根県を本拠にしています。「距離」は問題になりませんか。

佐伯 とくに問題にはなりません。首都圏の3社は高速道路を使えば半日もかからずに行き来することができます。島根県のフーズマーケットホックにしても、飛行機や新幹線といった交通機関がありますから、そこまで移動に苦労することはありません。

 また最近では、セルコチェーン(東京都/佐伯行彦理事長)の売場ライブ映像閲覧システム「セルコライブネット」を通して、店舗へ行かなくても売場の様子が手に取るように分かります。時間と経費を削減しながら、当グループだけでなくセルコチェーン加盟社の成功事例を迅速に共有できるようになっています。ですから「距離」はそこまで問題になっていないと感じています。

新システムを13年4月に稼働予定

──さえきHDはどのような機能を担っているのですか。

佐伯 主に管理面です。たとえば金融機関からの借入れの基準や出店の際の投資対効果や投資の回収期間といった部分は統一の基準をつくり、持ち株会社が判断します。ほかにも総務や人事など、間接部門の機能統合を進めています。

──持ち株会社体制移行のメリットはどのような部分にありますか。

佐伯 各SM事業会社に営業を任せたことが好業績につながっています。各SM事業会社は、そのエリアに合った営業施策を自分たちで考え、競合店を見て、やるべき仕事をそれぞれが決めます。私は基本的には口を出さずに、SM事業会社にほぼすべてを任せています。そうすることで「自分たちの城は自分たちで守る」という意識が芽生え、高いモチベーションにつながっていると感じています。

──現在の喫緊の課題はどのような部分にあると考えていますか。

佐伯 システムの統合です。現状では、各SM事業会社はそれぞれ異なるシステムを使い、各自がデータ処理をしています。POSデータもそれぞれが管理し、情報処理のコストがかさんでいます。そこで業務用の基幹システムを刷新すべく、昨年の秋から検討に着手しました。

 新システムでは、ネットワーク経由でアプリケーションソフトを使用でき、データをどこからでも引き出せる「クラウドコンピュータ型」に刷新します。それにより各SM事業会社の会計や販売、顧客データなどの管理を一元化できるようにします。

 だから本部や店舗にいなくても、出先からiPadのようなタブレット端末でデータを確認できるようになります。そこでは売場の情報も共有できますので、機動的な売場づくりにも効果を発揮するはずです。

 現在、ヴィンキュラム ジャパン(大阪府/瀧澤隆社長)さんにシステム構築を進めていただいています。投資額は5~6億円で、稼働開始は13年4月を予定しています。システムが本格稼働すれば、年間5000万円ほどのコスト低減につながると考えています。

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構成

小木田 泰弘 / ダイヤモンド・ドラッグストア 編集長

1979年生まれ。2009年6月ダイヤモンド・フリードマン社(現ダイヤモンド・リテイルメディア)入社。「ダイヤモンド・チェーンストア」誌の編集・記者を経て、2016年1月から「ダイヤモンド・ドラッグストア」誌副編集長、2020年10から同誌編集長。

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