3年かけた足場固めで収益力回復、今期は攻めに転じる=京王ストア 内藤雅浩 社長
このことから言えるのは、競合店に比べて価格帯が多少高くても、上質でよい商品は支持されているということです。もちろん、ボリュームゾーンについては当社もきちんと品揃えしますが、品質への安心があって来店されるわけですから、品質を落としてはいけません。
今、既存店客数が減少しているのは、価格で動くお客さま分の売上が落ちているということです。そこを意識しすぎると、今度は品質を落とすことになり、ロイヤルカスタマーが離反してしまいます。それでは本末転倒です。
当社は価格競争をせずにきた分、利益率は向上しています。いたずらに価格を訴求すれば利益を毀損するし、商品構成も狂います。そしてその結果、売上も利益も落ちてしまうのです。
──そうした中で、八社会(東京都/玉置富貴雄社長)の開発商品「Vマーク」は、ボリュームゾーン商品の価格訴求という意味でも、また粗利益の確保という意味でも有効ですね。
内藤 八社会が開発する「Vマーク」商品は、今、価格競争力の高い商品開発に舵を切っています。八社会全体として単品で1億~2億円程度にロットがまとまるような商品に絞り込み、ナショナルブランド(NB)商品に対抗できる商品開発をしようという方向です。
八社会加盟企業の交流も盛んで、どういう商品がどこで売れるか、といった分析情報も共有しています。
駅を“お客さまカウンター”にする
「京王ほっとネットワーク」
──今、業界内にはインターネットを活用した「ネットスーパー」に取り組む動きが広がっています。高幡(東京都)エリアではネットスーパーに取り組まれていますが、お客の反応はいかがですか。
内藤 インターネットについては、京王電鉄グループ全体で取り組もうとしているところですが、なかなか難しいものがあります。巷で言われているほどの反応はありませんね。
もともと当社は、年齢層が比較的高いお客さまが中心ということもあり、当社のお客さまと、インターネット利用層との間にギャップがあるように思います。
ただ、当社が長年にわたって取り組んできた宅配は、間違いなく伸びています。買い上げ単価も通常のリアル店舗で2000円くらいのところが、宅配になると8000~9000円になりますし、利用者も年に10%程度の割合で増えてきています。1日に数十件のオーダーがあり、確実にニーズが高まっているのを感じます。高齢社会という背景もありますし、坂の多い地区などは利用が多いですね。
──京王電鉄が沿線居住者に向けて、生活関連サービスを提供する「京王ほっとネットワーク」事業を展開しています。
内藤 「京王ほっとネットワーク」は京王電鉄グループで展開しているもので、たとえば住まいの小規模修繕、引越し、不用品の処分など住まいに関する「住まいのサポートサービス」、家事代行サービス、食料品を中心とした「宅配サービス」、ホームページからの注文による「お買いもの代行」や「シニアセキュリティサービス」に取り組んでいます。
その一環として当社は現在、高幡店と桜上水店(東京都)の2店舗で、お客さまの生活のご不便を解消する「宅配サービス」や「お買いもの代行」を展開しています。
京王電鉄グループは、少子高齢化が進む中で、京王線沿線が将来にわたって活力を維持できるサイクルをつくり上げようと考えています。当社もグループのSM企業として、高齢者世代が生き生きと暮らせ、子育て世代が暮らしたくなる街づくりの一端を担っていきます。