相鉄線沿線の駅周辺や「駅ナカ」への出店を進める=相鉄ローゼン伊藤英男社長
FSPを活用して広告宣伝費を削減
──現在の相鉄ローゼンの基本的な商品政策(MD)は、どのような考え方に基づいていますか?
伊藤 当社の立ち位置は、低価格訴求を第一義とするような各社さんとは違います。駅に近いという利便性を生かし、品質の高いものを、できる限り手ごろな値段で提供するのが基本的な商品政策です。
値ごろ感を訴求できてかつ粗利益を確保できるという意味で大きな武器になるのが、当社が加盟する八社会(東京都/木下雄治社長)のプライベートブランド(PB)であるVマーク商品です。これまでは当社を含め、加盟各社が独自のPBを開発していましたが、今後はVマーク商品を各社のPBとしてもっと注力する方針を固めました。今年の春以降、どんどん新商品が発売される予定ですので、Vマーク商品の価値がさらに高まると期待しています。当社も今後、ますますVマーク商品の販売に力を入れていきます。
──売上拡大を図る一方で、販売管理費の削減についてはどのように取り組んでいますか?
伊藤 すでに09年度に10億円の経費を削減していますが、10年度も上期だけで相当な額の経費削減に成功しています。
大きな成果が得られた例としては、FSP(フリークエント・ショッパーズ・プログラム)データを活用した広告宣伝費の見直しです。店舗ごとに来店客を分析し、チラシ配布エリアを絞り込んだのです。また、一部の冷蔵ショーケースを非冷蔵化することも行いました。これには、光熱費削減以外のねらいもあります。冷蔵ショーケースが減ることで店頭に陳列されている冷蔵管理する商品の陳列数量を削減し、回転率が向上しましたので、鮮度アップと、廃棄・値下げロスの削減効果も得られるのです。
今後も物流システムの効率化など大きなものから電灯をこまめに消すなど小さなものまで、努力の積み重ねによって経費削減を実現しているような状況です。
──従業員の働き方を変えるなどして、人件費の低減にも着手されるのですか?
伊藤 当社では、パート社員がたいへん大きな戦力になっています。そのパート社員の実力向上に努め、できるだけ少ない正社員で運営できる態勢を整え、店舗の人件費を削減していきたいと考えています。正社員が減った分をすべて新たな正社員雇用で賄うのではなく、欠員をリタイヤ後の団塊の世代など実力の高いエルダー社員(※定年退職後の再雇用者)で充当などして、店舗の経費構造を転換していきます。