「フォーエバー21」が再々上陸 アダストリアが中価格帯のSPAに再生させる狙いとは
ECを中心にOMOで事業を拡大
事業展開方針も刷新する。前回の上陸時は大都市における路面店や売場面積500~900坪超の大型店を展開していたが、今回は路面店を出店せず、ショッピングセンター(SC)を中心に出店。売場も150坪程度にダウンサイジングする。年間3店をめどに堅実に店舗網を拡大。ECでの販売を約6割と重視する。
アダストリアは1400万人以上の会員を有する自社ECサイト「.st」(ドットエスティ)を展開。各ブランドのショップスタッフが個人のスタイリングを投稿し、お客にコーディネートを提案、SNS(交流サイト)とも連携する「スタッフボード」と呼ぶOMOの仕組みを強みにしている。「フォーエバー21」もこれを軸にファン客を育成。実店舗とECをつなぐことで事業基盤を築く。
来年2月にドットエスティでの販売をスタート。4月下旬をめどに関東と関西の郊外型SCに出店する。1号店はららぽーとになる予定。その後ポップアップストア(期間限定店)も随時展開し、お客が直接商品を手にする機会を設ける。
展開初年度の24年2月期は売上高13億円(うちEC10億円、店舗数3店で3億円)、5年目の28年2月期には売上高100億円(EC60億円、店舗数15~18店で40億円)と堅実な計画を立てている。
海外ブランドを活用する事業子会社
日本における「フォーエバー21」のテーマは「Wear No Filter」。特定のフィルターを通さず、現実をそのままに伝えることでさまざまな現代的な価値観へのリスペクトと共鳴を表現する。
商品は①ベーシック、②フェミニン、③ポップ、④モード、⑤ストリート、⑥ビンテージ―の6つのコンセプトを設定。10代後半~30代前半の女性が仕事やプライベートを含めた生活シーンの中で使えるさまざまなテイストの服を提案していく。
事業展開するゲートウィンはアダストリアグループにおけるライセンス事業のビジネスモデル構築を目指す新会社。「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングで素材開発などをしていた杉田氏が社長に就任。ECや商品の企画・生産から販売までのバリューチェーン、店舗開発力などアダストリアが持つプラットフォーム(基盤)を活用し、海外の有力ブランドを日本国内で展開する。将来的にはアジア全域での事業展開を視野に入れている。
日本では米国のカジュアルブランド「アメリカンイーグル アウトフィッターズ」が今年10月、東京・渋谷と池袋に旗艦店をオープンする予定で、米国のアウトドアブランド「エディー・バウアー」も来春から販売を始めるなど、一度撤退したブランドが再上陸する動きが出始めているが、「エディー・バウアー」はブランドを有するABG社が伊藤忠商事とライセンス契約を結び、サブライセンス会社が国内展開する今回の枠組みと同じ構図になっている。