「フォーエバー21」が再々上陸 アダストリアが中価格帯のSPAに再生させる狙いとは

2022/09/26 05:55
    西岡 克(フリーランスライター)
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    「グローバルワーク」「ニコアンド」などを展開するファッション専門店チェーンのアダストリア(東京都/木村治社長)は、来春から米国発のカジュアルブランド「フォーエバー21」を国内で展開する。2019年に日本市場から撤退したファストファッションブランドの名前を用いて、アダストリアが商品の約8割を企画・生産し、ユニクロよりも若干低い中価格帯のSPA(製造小売業)ブランドとして再生。ECを中心にOMO(ネットと実店舗の融合)戦略を取り、5年目に売上高100億円を目指す。

    一世を風靡したファストファッションチェーン

    09年4月29日に東京・原宿のH&M隣にオープンした再上陸1号店。地下1階~地上4階の5フロアで売場面積は約530坪。ゴールデンウイークの8日間で8万4000人が入店した
    09年4月29日に東京・原宿のH&M隣にオープンした再上陸1号店。地下1階~地上4階の5フロアで売場面積は約530坪。ゴールデンウイークの8日間で8万4000人が入店した

     「フォーエバー21」は1984年に米国・ロサンゼルスで創業。一時は世界で800店を超え、一世を風靡した格安ファッションチェーン。

     2000年に当時の大手婦人服専門店の三愛と提携し国内で2店を開いたが1年半で撤退。094月東京・原宿に再上陸1号店をオープン。その後、銀座、新宿、渋谷に大型路面店を出店するなど、089月に進出したH&Mとともに日本のファストファッションブームを盛り上げた。

     199月に米国連邦破産法を申請して経営破綻。日本でも同10月までに全店を閉鎖した。 

     その後、米国ブランド管理会社のオーセンティック・ブランズ・グループ(ジェイミー・サルター会長、ABG社)が20年にブランド名を取得、現在は米国の約370店を中心に世界で約570店を展開している。 

     日本では伊藤忠商事(東京都/石井敬太社長)が国内の販売権とマスターライセンス権を取得。アダストリアが今年5月に設立したライセンス事業子会社、ゲートウィン(杉田篤社長)がサブライセンス契約を結び、商品企画・販売・店舗運営を担当する。

    トレンドと品質が共存するブランドに転換

    東京・渋谷のアダストリア本社で開かれた記者会見で。写真左からABG社のケビン・サルター アジア・太平洋担当副社長、アダストリアの木村治社長、野田源太郎 R&D本部クリエイティブディレクター
    東京・渋谷のアダストリア本社で開かれた記者会見で。写真左からABG社のケビン・サルター アジア・太平洋担当副社長、アダストリアの木村治社長、野田源太郎 R&D本部クリエイティブディレクター

     アダストリアは「フォーエバー21」の高い知名度を生かしながら、「大量生産、大量販売、大量廃棄」といった悪いイメージを払拭。自社の生産背景を活用して適時・適価・適量の商品調達体制を取る。品質や価格もかつては「チープで素材や縫製が悪い」という評判だったが、同社の品質基準を適用し、中価格帯に設定。「トレンドとハイクオリティが共存するブランドに転換する」(木村社長)。

     主要ターゲットは10代後半~30代前半の流行に敏感な女性。平均商品単価は4000円、セット率1.5程度を想定し、客単価は5800円を見込む。ユニクロよりはやや低く、H&Mやジーユーよりも少し上の価格帯をイメージしており、ドレスが2180円、ジーンズが1550円といった原宿店開店時の価格に比べると2倍以上になる。

     商品は米国の商品企画を基に、日本に合った素材やパターンを選定。サイズ、デザイン、色などをローカライズ(地域化)し、来春夏は約8割を国内企画にする。残りの約2割が米国からの仕入れ。かつてはOEM(生産委託)とODM(企画・生産委託)による商品調達だったが、アダストリアの企画・生産体制により、SPAブランドに変身する。

     素材面では初年度はサステナブル(持続可能)な素材を約20%使用し、2年目以降はさらに比率を高める。

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