「フォーエバー21」再上陸!手掛けるアダストリアの勝算と戦略は?
アダストリア(東京都/木村治社長)は9月21日、記者会見を開き、2019年に日本撤退した「FOREVER21」(フォーエバー21)を3年ぶりに再上陸させることを発表した。かつて一世を風靡しつつも脆くも崩れ去ったファストファッションを、アダストリアはどのように日本市場で再“離陸”させようといのか。
フォーエバー21とは
フォーエバー21は、米ロサンゼルスに本社を置く大手アパレルチェーン。米国で若者に絶大な人気を集め、世界に展開、日本でも2009年の原宿店を1号店に都心を中心に店舗展開していた。
全世界に店舗を拡大し、日本でも一世風靡したフォーエバー21だったが、その崩壊は早かった。有名アーティストから商標権侵害で訴えられたり、劣悪な環境、最低賃金以下の給料で従業員を働かせていたなどの労働問題がたびたびメディアを賑わしたのだ。ラナプラザ崩落事故などを契機に、大量生産し低価格で大量販売する従来のファストファッションモデルに消費者が懐疑的な目を向けていた時に、自らの経営姿勢を顧みることなく、消費者にそっぽを向かれたのが、フォーエバー21の敗因だったとされている。19年9月にチャプター11(連邦破産法11条)の適用を申請、日本では19年10月末にECを含む全店閉鎖し、日本市場から撤退していた。
フォーエバー21はその後、2020年に米ブランド管理会社のオーセンティック・ブランズ・グループ(ABG)が同ブランドを買収し、リブランディングをスタート。その後、サステナビリティや社会貢献といった切り口を強化するなど、SDGsの時代に合わせたプロモーションを実施してイメージを刷新、現在では世界に570店舗以上を展開するまでに復活している。
アダストリアはフォーエバー21をどうかじ取りするか?
日本撤退から3年。日本再上陸にあたり、アダストリアはどんな戦略で臨むのか?
フォーエバー21はECを中心にグローバルに展開する戦略に転換しており、日本でも同様の戦略を採る。そこで、日本でアパレルEC第3位の売上を持つ企業として、アダストリアがパートナーとなったのである。
ダイヤモンド・チェーンストアオンラインでは既に「急成長続く、アダストリアのEC戦略 エンターテインメント・コミュニティ構想とは」として同社のEC戦略を詳細に取材していいる。アダストリアの22年2月期のEC売上高は対前期比6.8%増の574億円、EC化率は30.1%と高く、そのうち自社EC比率が過半を占めている。ECを軸にフォーエバー21ブランドを日本に浸透していく上で、アダストリアはうってつけのパートナーというわけだ。
アダストリアは日本再上陸にあたり、大量販売・大量廃棄といったイメージから脱却し、日本マーケットにローカライズしたファッションを展開していく考えだ。具体的には、ライセンス事業のビジネスモデル構築を目指して22年5月に設立された子会社のゲートウィン(杉田篤社長)が事業を担う。初年度20%をサステナブル素材、加工の商品にし、5年後の売上高100億円、その際のEC化率60%を目標にする。
木村社長は会見で、アダストリアがフォーエバー21を展開する理由について「フォーエバー21の持つファッション性と多様なカルチャー、誰もが知る知名度に、アダストリアが築いた店舗網と商品開発力、1400万人以上の会員を持つ自社ECといった強みを掛け合わせることで、新たなフォーエバー21の魅力を通じたファッションの楽しさを届けられると確信している」と語った。
フォーエバー21は今後、23年2月21日に自社ECの.stで販売を開始、同年4月下旬からららぽーとと組むなどして関東・関西の郊外ショッピングセンターに出店予定だ。