モノマネは所詮は張りぼて
最近、食品スーパーの売場を訪問して驚くのは、どこかで見たことのある什器、照明、商品、レイアウトなどなどが非常に多いことだ。最新型店舗という触れ込みがあるので視察に行くと、それは過去にどこかの企業がチャレンジしたもののコピー版だったりする。
もちろん、「まなぶ」の語源は「まねる」にあるのだから、モノマネすること自体は大事なことだ。実際、モノマネをしながら成長してきた企業は枚挙にいとまがない。けれども、それは高度成長でパイ自体が大きくなっていたときの話だ。当時は業界の成長の波に相乗りすることで、それほどの苦労はしなくとも売上を拡大することができた。しかしながら、現在のようにパイが縮小し、それらの分捕り合戦になってくると、きっとモノマネは競争力にならない。
人材育成の問題もある。モノマネをよしとし、文化として定着しているような企業には独創的な施策の芽はなかなか育ちにくい。どこかで見たことのある売場は所詮は張りぼて。それではすでに到来しているカットスロートコンペティション時代を乗り切れない。
『ダイヤモンド・チェーンストア』誌2015年4月15日号
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