モノマネは所詮は張りぼて
最近、食品スーパーの売場を訪問して驚くのは、どこかで見たことのある什器、照明、商品、レイアウトなどなどが非常に多いことだ。最新型店舗という触れ込みがあるので視察に行くと、それは過去にどこかの企業がチャレンジしたもののコピー版だったりする。
もちろん、「まなぶ」の語源は「まねる」にあるのだから、モノマネすること自体は大事なことだ。実際、モノマネをしながら成長してきた企業は枚挙にいとまがない。けれども、それは高度成長でパイ自体が大きくなっていたときの話だ。当時は業界の成長の波に相乗りすることで、それほどの苦労はしなくとも売上を拡大することができた。しかしながら、現在のようにパイが縮小し、それらの分捕り合戦になってくると、きっとモノマネは競争力にならない。
人材育成の問題もある。モノマネをよしとし、文化として定着しているような企業には独創的な施策の芽はなかなか育ちにくい。どこかで見たことのある売場は所詮は張りぼて。それではすでに到来しているカットスロートコンペティション時代を乗り切れない。
『ダイヤモンド・チェーンストア』誌2015年4月15日号
千田直哉の続・気づきのヒント の新着記事
-
2024/09/02
魅力的な売場…抽象的な誉め言葉の意味を明確化するために必要なこととは -
2024/08/02
日本酒類販売社長が語る、2023年の酒類食品流通業界振り返り -
2024/07/03
「何にでも感激する経営者」の会社が業績が良い“意外な”理由 -
2024/06/07
経費率16%なのに?ローコスト経営企業が敗れ去るカラクリとは -
2024/05/23
キットカットをナンバーワンにしたマーケター「アイデアより大事なこと」とは -
2024/04/15
スーパーマーケット業界のゲームチェンジャー、オーケー創業者・飯田勧氏の経営哲学とは