叱ってもらいたいなら
ある年齢を超えると、《私》を叱ってくれる人が極端に少なくなっていることに気付く。《私》の過去数年を振り返ってみても片手にさえ余るほど少ない。けれども、それは《私》にとっては大きなマイナスだ。成長は止まってしまうだろうし、裸の王様になっている可能性も大きい。
規模を拡大した企業の場合も同じことが言えるかもしれない。従業員は「灯台下暗し」で自らの欠陥や欠点に気付きにくい。取引先は、「物言えば唇寒し秋の風」とばかりに“お得意様”に対して面と向かっては問題や欠陥を指摘しない。我々、メディアにしてみても負の情報を直接伝えるのは「清水の舞台から飛び降りる」ほどに勇気のいることだ。
そういえば、と思い出したのは、1995年にファーストリテイリング(山口県/柳井正社長)が全国紙や雑誌に広告を掲載して実施した「ユニクロの悪口言って100万円」キャンペーンである。ユニクロの批判に賞金を出す企画には実に1万通以上の意見が集まった。誹謗中傷・罵詈雑言の類も少なくなかったというが、指摘を真摯に受け止め対策を打つことで確実に成果は現れた。
そして、もし、「最近叱られていない」という自覚症状を持つ企業があるのなら、二番煎じだとしても同じような手を使って、意見収集を試みるのも悪くはない。
『チェーンストアエイジ』誌2015年2月1日号
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