ある有力スーパー経営者の食料事情に関する私見
「世界的に見ても日本の食料事情は安定しており、しかも安い。現在、日本のエンゲル係数は22~23%。これに対して10年前は数%に過ぎなかった通信費支出比率は15~16%。日本は贅沢な国になっている」
「次の数年の内に食料確保は、どんどん困難になると予想する。第1次産業に従事されている方の34%以上が75歳以上。この方々が廃業すれば、日本の食料事情は途端に悪化するだろう。しかし、この事態に対しては、ほぼ手が打たれていないように見える。本当に大丈夫なのか、と考えてしまう。実際、いま、食品スーパーではバターが欠品している。酪農従事者は年間2割ペースで減っているという。原料不足を補うために、私たちが新たに起業参入してもしっかり製品化するまでには3~4年を要する。構造問題だ」
「農業についてはコメのように余っている作物には、手を打っているようだが、そうではない作物については何もしていない。生産者が突然やめてしまうと、一挙に総生産量が6割減くらいになる作物は少なくない。それがいつになるかは分からない。自分たちが欲しい作物を確保していくことはすでに難しくなりつつあるという感覚はある」
「では輸入は大丈夫かといえば決してそうではない。中国が牛肉をすごい勢いで消費するようになり、オーストラリア産の牛肉は大半が中国に向けて輸出されるようになっている。その一方で、日本は『低価格』『高品質』など、産地に対する要求レベルが高い。となれば、どこが有力輸出先になるかは目に見えている。この円安で食料は高騰する」
「そう考えると、今後、食品の高騰にともない、日本のエンゲル係数は30%くらいに戻っていくような気がする」
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