ファーストリテイリング2014年8月期上期決算発表 「数字編」

2014/04/11 08:00
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 ファーストリテイリング(山口県/柳井正会長兼社長)は、4月10日、2014年8月期上期決算を発表した(@ロイヤルパークホテル)。当BLOGでは、「数字編」「経営編」にわけて、その内容を報告する。本日は、「数字編」。

 

《上期業績の主な増減》

 

 ファーストリテイリング(連結)の2014年8月期上期の売上高は7643億円(対前期比24.3%増)で1495億円の増収だった。内訳は、海外ユニクロ事業が1013億円増、国内ユニクロ事業が183億円増、グローバルブランド事業が296億円増となっている。

 売上高総利益率は49.3%(同0.1ポイント〈pt〉減)。

 売上高販売管理費率は35.8%(同2.1pt増)、国内ユニクロ事業が同1.3pt増、もともと販売管理費率の高い海外ユニクロ事業の構成比が上がったことにともなう。

 この結果、営業利益は1032億円(同6.8%増)。経常利益1075億円(同0.2%減)、円安により為替差益47億円を計上したが、営業外収益が61億円減少したためだ。

 なお、純利益645億円(同1.4%減)だった。

 

《国内ユニクロ事業》

 

 国内ユニクロ事業の売上高は4055億円(同4.7%増)、営業利益は702億円(同1.8%増)だった。

 2014年1月9日に発表した直近予想に比べ、売上高、営業利益ともに計画を下回った。

 

 売上高が伸びたのは、既存店舗売上高が同2.2%増(客数:同0.5%増、客単価:同1.7%増)になったこと。スクラップ&ビルドによる店舗の大型化で1店舗当たりの売上高が増加したこと。2月末現在の直営店舗数は831店舗(同3店舗増)となっている。

 

 12月後半から本格的に気温が低下したことにより、ウルトラライトダウン、ヒートテック、フリースなどの冬物コア商品が好調だった。とくに年末年始セールが好調で1月の既存店舗売上高は同15%増と大幅に増えた。客単価は、ヒートテックの販売好調で買い上げ点数が増加した。

 また3月後半からの気温上昇によって春物商品が動き出したことによって、3月の既存店売上高は、同0.6%増となっている。

 

 売上高総利益率は47.5%と同0.8pt増加した。ただし、従来ベースでの売上高総利益率は同0.5pt減で直近予想も下回っている。12月末から値引きを強めたことと、シーズン末に向け、在庫処分を実施した影響が出た。

 

 売上高販売管理費率が30.2%と同1.3pt増加した。人件費率で同0.8pt増、これはパート・アルバイトを増員し、店舗人件費を増やしたため。また、販売促進活動を強化したために広告宣伝費で同0.2pt増。その他経費の上昇は定番商品の在庫増による物流費、倉庫費の増加によるものだ。

 売上高が計画に対して下振れしたことが影響した。

 しかし金額ベースでは対計画比で同約10億円下回っている。

 

 2014年度の国内ユニクロ事業の通期予想は、売上高7150億円(同4.6%増)、営業利益は1000億円(同3.3%増)。これは、上期の下振れ分を反映させた上に、下期の店舗人件費および物流費・倉庫費の増加を織り込んだ。なお下期の既存店増収率は、同0.5%増。通期では同1.5%増を見込んでいる。2014年8月期末の店舗数は、フランチャイズ店を含み、857店舗と同4店舗増になる見込み。

 

《海外ユニクロ事業》

 

 海外ユニクロ事業の売上高は2320億円(同77.6%増)、営業利益は280億円(同75.1%増)となった。計画を上回る大幅な増収増益を達成した。

 

 とくに中国、香港、台湾を合わせたグレーターチャイナが好調だった。中国は順調な出店と既存店舗売上高の同2桁増収。台湾は大量出店した店舗が総じて好調、上期で46店舗を出店(1店舗を閉鎖)し、2月末現在で325店舗に達している。

 

 韓国も大幅な増収増益。ニット、フリース、ヒートテック、ウルトラライトダウンなどの冬物コア商品の販売が好調で既存店舗が2桁増収を達成。2月末で13店舗を出店、2店舗を閉店し、116店舗を展開している。

 

 シンガポール、マレーシア、タイ、フィリピン、インドネシアなどの東南アジア地区は、計画通りの増収増益で上期に19店舗を出店。58店舗に拡大している。

 

 米国の赤字幅は対前年比で大幅に縮小。グローバル旗艦店を含むニューヨークの3店舗の売上が同2桁増収と回復した。2013年秋にオープンしたショッピングモールの10店舗も順調だった。

 

 欧州は、英国、仏国、ロシアともに既存店売上高が同2桁増収になった。欧州では上期に3店舗を出店し、2月末の店舗数は18店舗となった。

 

 2014年3月5日には、香港証券取引所にHDR(香港預託証券)を上場した。この目的は、成長著しいグレーターチャイナおよび東南アジア地域において、ファーストリテイリング、ユニクロ、グループブランドの認知度を向上させ、地域での存在感を高めていくこと。また事業成長にともない、グローバルに投資活動を進めていくこと。グローバル企業として財務状況や投資状況の透明性を高め、経営の質を向上させることにある。

 

 これらの結果、海外ユニクロ事業全体では、2月末の店舗数で534店舗(91店舗出店、3店舗閉鎖)になった。

 

 2014年度の海外ユニクロ事業の通期予想は、売上高4000億円(同59.2%増)、営業利益は350億円(同90.7%増)。下期も高い成長が続く見込み。

 下期もグレーターチャイナ、韓国、東南アジア地区で、高い成長が続くことを見込む。米国は赤字幅が縮小。欧州は4月に開業予定のドイツのグローバル旗艦店の関連コスト増が予定されているが通期では前年並みのブレークイーブンの利益を確保できる見込みだ。

 2014年8月末の海外ユニクロ事業の店舗数は632店舗で同186店舗増加を計画する。

 

《グローバルブランド事業》

 

 グローバルブランド事業の売上高は1253億円(同31.0%増)、営業利益は92億円(同7.7%増)となった。売上高はほぼ計画通り。営業利益は計画を若干下回っている。

 

 ジーユー事業は、増収増益だったが計画を若干下回った。上期の既存店売上高増収も、冬のキャンペーン商品のアウター類などが計画未達で、在庫処分による値引き販売が増加したためだ。上期に40店舗を出店、4店舗を閉店し、2月末の店舗数は250店舗になった。

 

 セオリー事業は、増収になったものの、営業利益は計画を若干下回り減益。これは主に米国の景気低迷により、百貨店の販売が不調。加えて日米で広告宣伝費や人件費などの経費が増加したためだ。

 

 J Brand事業も景気低迷の影響を受け、計画を下回った。コントワー・デ・コトニエ事業は、増収増益と計画を上回る結果になった。プリンセス タム・タム事業は、ほぼ計画通りだった。

 

 2014年度のグローバルブランド事業の通期予想は、売上高2530億円(同22.7%増)、営業利益は210億円(同20.3%増)。上期の業績を勘案したもの。

 

 ジーユー事業の通期売上高は、計画通り1000億円を超える見込み。出店は計画通り順調で、2014年8月期末は、277店舗。同63店舗増となる予定。

 ジーユー事業は、2014年春夏シーズンより、とくにウイメンズ商品の企画・デザインを強化しており、毎月テーマが変わる「マンスリー・トレンド・コレクション」を展開し始めている。また、新しいTVCMキャラクターにファッションリーダーのローラさんを迎え、ファッションブランドとしての事業を拡大中だ。

 

 これらの結果、連結の通期の業績予想は、売上高1兆3700億円(同19.9%増)、営業利益は1455億円(同9.5%増)、営業外収支は2月末の為替を前提とし経常利益は1495億円(同0.3%増)、当期純利益は880億円(同2.6%減)を見込んでいる。

 

《貸借対照表(バランスシート)》

 

 2014年8月期上期末の総資産は、9485億円で同1420億円増加した。これは流動資産で1128億円、固定資産で291億円増えたためだ。これを受けて純資産は、970億円増加した。

 

 流動資産増加の要因と内訳は、現金・預金及び有価証券の増加が164億円で合計3586億円になった。海外ユニクロ事業を中心に営業キャッシュフローが増加したことに起因する。

 

 2月末の棚卸資産は、同538億円増加の1635億円となった。

 国内ユニクロ事業の2月末在庫は同193億円増。店舗什器の高層化による店頭在庫増、通年で販売する定番商品が増加したためだ。海外ユニクロ事業の在庫は同283億円増。店舗数が同175店舗増加した。グローバルブランド事業は、ジーユー事業、セオリー事業の拡大によって在庫が増え、同28億円増加となった。

 

 為替予約勘定は、1105億円と同295億円増加した。国内ユニクロ事業は、長期的なヘッジ方針に従って為替予約を行っている。2月末の為替レートが保有する為替予約の平均レートよりも円安ヘッジ会計適用のため、損益への影響はない。

 

 固定資産は2581億円と同291億円増加している。有形固定資産が同218億円増加して1044億円となっているが、海外ユニクロ事業が同175店舗増加、グローバルブランド事業が同91店舗増加したためだ。

 

《キャッシュフロー計算書》

 

 営業活動によるキャッシュフローは、1036億円の収入となった。ユニクロ事業をはじめとする各事業の利益貢献によって1081億円と収入が増加した一方で、法人税は190億円と支出が増加した。

 

 投資活動によるキャッシュフローは、252億円の支出となった。

 主な内訳は、有形固定資産の取得で188億円。システム投資などの無形固定資産の取得による支出で29億円となっている。

 なお、連結の設備投資額は、261億円。内訳は国内ユニクロ事業が34億円、海外ユニクロ事業で158億円、グローバルブランド事業で38億円、システム投資で28億円となっている。

 

 財務活動によるキャッシュフローは、206億円の支出となった。主な内訳は、配当金の支払い額が151億円の支出となっている。
以上の結果、2014年2月期の現金及び現金同等物の期末残高は、3584億円となった。

 

 配当金は、中間配当金を1株当たり150円と従来予想から変更はない。期末配当金も同150円で年間では同300円を予想する。
 

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