福岡・天神に誕生した「五感で泊まる」個性派ホテルの哲学とは?
記憶に残る開放感と快適さ

プランドゥーシーには、「その土地、建物が持っている文化や風土を大事にしながらホテルのコンセプトを考えていくので、同じ名前のホテルを2個作ることはない」という哲学がある。髙畠氏が「すべてにおいて“自分たちが心地よいと思える空間”にこだわった」と胸を張るワンフクオカホテルの最大の魅力は、「圧倒的な開放感」だという。デザインは建築家の中村拓志氏が手がけた。
「コンセプトは “天空の空にくつろぐ”。18階の客室エリアには中庭やライブラリーラウンジがあり、大浴場にはサウナ後に外気浴ができるテラスも用意している。バーも外とシームレスにつながる構造になっているなど、客室、レストラン、カフェ、宴会場、ホテルのどこにいても風を感じられる。訪れた際にはぜひ味わってもらいたい」(髙畠氏)
そうはいっても、冬場などは気温が低く、外気の心地よさを感じられない期間もあるはずだ。その点についても、髙畠氏は「たしかに心地よいと感じる季節は1年の半分程度。それでも、気持ちのいい季節に訪れたお客さまの記憶に残れば、必ずまた来ていただける。それだけの価値があると考えている」と話す。

象徴的なのが、“シグニチャールーム”と呼ばれる客室だ。通路から部屋の中が見えるという大胆な設計により、視線を遮るのではなく、むしろオープンにすることで新たな体験価値を生み出した。
「正直に言うと当初は、部屋の中まで見えてしまって大丈夫か?と社内でも議論になった。しかし、前例がないことにこそチャレンジしないと意味がない。実際に泊まった方からは『部屋にいながら庭が見えて、開放的で気持ちよかった』との声をいただいている」(髙畠氏)




