ブレンドウイスキー、ブレンド米
「シングルモルト」ウイスキーが大好きなことは、以前このBLOGで書いたことがある。
http://diamond-rm.net/articles/-/3863
モルトウイスキーには、①1つの樽でつくられたモルトウイスキーだけを瓶詰めした「シングルカスク」、②1つの蒸留所でつくられたモルトウイスキーを瓶詰めした「シングルモルト」、③複数の蒸留所で作られたモルトウイスキーを混合して瓶詰めした「ヴァッテッドモルトモルト」の3種類がある。
また、これらとは別にモルトウイスキー(原料:大麦麦芽)とグレーンウイスキー(同:トウモロコシ、大麦麦芽比率5対1)を混ぜてつくるブレンドウイスキーというのもある。
ブレンダーと呼ばれる専門家が試作を繰り返し、誠心誠意を込めて混合した自信の逸品である。
だから、モルトウイスキーもブレンドウイスキーも実にうまい。個人による嗜好の差はあるかもしれないけれども、製品として販売されているものであれば、大外れということはまずないはずだ。
さて、同じブレンドつながり、ということでみると、日本のコメの世界には、複数の品種が混合されているブレンド米がある。
ウイスキー同様、コメも品種、産地、土壌、水質、もっと言えば田んぼ(=樽、蒸留所)ごとにおいしさが異なる。
ブレンド米は、これらを混合することによって、味、品質、価格を調整しようというものだ。
だが、ブレンド米がブレンドウイスキーと違うのは――。
「まずい」「偽物」「まがい物」など…ブレンドウイスキーのような良いイメージがないことだ。
とはいえ、ここに来てブレンド米を見直す機運が高まっているのも事実だ。
たとえば、コメの専門店スズノブ(東京都/西島豊造社長)のホームページには、「ブレンドとは、天候に恵まれなくて力不足のお米の味を、修正して平年並にしたり、もう1つ出きらないお米の力を引き出したり、一年間同じ状態で炊けるようにしたりする《技術》(後略)」と記されており、ブレンド米のメリットを強調。また、最近では日本米穀小売商業組合連合会(東京都/長谷部喜通理事長)が認定する「お米マイスター」による「オリジナルブレンド」米なども開発されている。
ブレンド米は、一概に悪いイメージばかりではなくなっているのだ。
ただそうは言っても、コメを主食に据える私としては、「シングルモルト」的に、多少高くとも個性的でおいしいコメを味わいたいと思うのである。
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