缶コーヒー、1本1000円
わが社は「出版と古本屋と学生の街」である東京神田神保町にある。
だからというわけでもないのだろうが、テイクアウトコーヒー店がそこかしこにあり、“朝の一息”を入れるには、まったく不便を感じない素晴らしい環境にある。
よく買いに行く店を順に記すと、「ベローチェ」「スターバックスコーヒー」「ドトールコーヒー」「ターリーズコーヒー」「マクドナルド」「カフェ アンドナンド」…。その日の気分で店を使い分けているのであるが、店で注文する商品はテイクアウトのブラックコーヒーと決まっている。
ちなみに「ベローチェ」では、ブレンドコーヒー(L)が210円、「スターバックス」では本日のコーヒーのトールサイズで340円(2杯目は100円)、「ドトールコーヒー」ではブレンド(L)が300円といった具合だ。
いずれの場合も一杯のブラックコーヒーに200円以上を払っていることになる。
これに対して小売業は、代替商品ともいうべき190gの缶コーヒーをいくらで販売しているのだろうか?
コンビニエンスストアなら120円、自動販売機も120円、食品スーパーなら120円よりちょっと安く、単品をケースで買うのであれば1本100円を切る商品もある。
缶コーヒーの価格は120円と横一線。極上のコーヒー豆を使ったり、いろいろなテーストの商品を販売しているのは知っているけれども、テイクアウトコーヒーを凌駕する味のものはないような気がする。
たぶん、メーカー側も、初めから120円という価格ありきで商品を開発し、販売しているのだろう。
しかし、それでは新しい需要を開拓することはできないのではないだろうか?
少子高齢化で口の数が減る分、缶コーヒーはテイクアウトコーヒーとも競争する必然性がある。
しかも、一杯のブラックコーヒーに200円以上を支払うお客がたくさんいるのだから、缶コーヒーも高額商品の可能性を諦めるべきではないのではないだろうか?
ハナから定価ありきの発想になると、思考回路は止まり、200円の缶コーヒー、500円の缶コーヒー、1000円の缶コーヒーといった突拍子もないアイデアは企画書に書かれる前から否定されてしまう。
もちろんこれは缶コーヒーに限った話ではない。
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