ある食品スーパートップのネットスーパー評
アマゾン・ドット・コムの躍進を見るまでもなく、ネット販売はこれから確実に伸びると思う。今は、ほとんどの企業が儲かっておらず、進出に二の足を踏む企業も少なくないが必ず伸びる。
理由は、私の73歳になる妻を見ていれば分かる。
実は、自宅から徒歩1分の場所に食品スーパーの店舗があるのだが、妻はそこにさえ行かなくなった。コメや水はもちろんのこと、ダイコンやキャベツなども持ち運べないからだ。代わりに電話やファックスで配達を頼んでいる。
もうひとつの理由は、時間の節約だ。毎日、食品スーパーで買い物をすることは、生活者に時間的な負担を課する。けれども、ネット販売ならば、発注した後は、指定の時間に在宅していればいいので自分の時間を有効活用することができる。忙しい現代人には適したビジネスモデルだと思う。
我々の世代はネットをうまく活用できない人たちが多いから、商売としては必ずしもネットを介する形ではないかもしれない。
でも、形はどうあれ、今後、高齢社会が定着する中では、《注文→配達》型のビジネスは有力視できる。需要が確実に存在するのだから、将来有望だ。
我々の同業者がネット販売ビジネスに進出することは、ひとつの手だと思う。
しかし、進出するのであれば、腹を括って出て行かねばならない。
実店舗もネットもということでは、「二兎追うものは一兎も得ず」になってしまう可能性が高い。だから、転業する覚悟で臨まなければいけないと考える。ネット販売は、片手間ではできない事業だ。中小規模の企業であればなおのことだ。
昔、多くの食品スーパー創業者は、生業としての家業から、清水の舞台を飛び降りる決意を決め、スーパーに転業した歴史を思い返したい。
蛇足ながら言うと、もちろん、店舗もなくならない。これから流通チャネルは、ますます多様化することになるだろう。
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