「働きたい」と評価される企業になるために
私が講師を務めたある講演会で「従業員に『働きたい』と評価される会社になるためにはどうしたらいいか?」という質問を受けた。
米国『フォーチュン』誌は、毎年「働きたい企業ベスト100」のランキングを発表しており、小売業も必ず数社ランキングしている。たとえば、2011年度版なら、3位にウェグマンズ(食品スーパー)、8位にナゲットマーケット(食品スーパー)、21位にコンテナストア(収納専門店)、24位にホールフーズ(食品スーパー)、74位にノードストローム(百貨店)…という具合――。
「そうした企業は何をしているのか教えてほしい」と言うのだ。
「難しい質問だな」と思いつつ、以前、コンテナストアの創業者の1人キップ・ティンディルさんにインタビューしたことを思い出し、次のように答えた。
「21位のコンテナストアは、人材を優良資産と位置付けており、『優秀な1人の社員は普通の社員3人分に匹敵する』と考えている。だから、給料は高く、小売業平均の1.5倍~2倍。原石の選び方も独特で社員の60%は他の社員の紹介によるものだ。合否のチェックポイントとして、①会話力と②接客力が重んじている。どんなに価値のある原石も磨かなければ光らないので、研修には時間をかける。一般的な米国の小売業の研修時間7時間に対して、コンテナストアはその33倍に当たる235時間を費やしている…」。
どの企業も「企業は人なり」と口をそろえて強調するけれども、従業員に「働きたい」と評価されるようになるには、それだけの努力をしている、ということである。
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