《自然解凍》冷凍食品で「節電の夏」を迎え撃つ
東京電力(東京都/西澤俊夫社長)は、1月17日、工場やオフィスの大口契約者向けの電気料金を17%値上げすると発表した。
また、「節電の夏」になりそうな予感。
ということは、売れる物が変わるはず。ということは、新しい商機の到来と言っていい。
「節電の夏」。
私が注目しているのは、《自然解凍》の冷凍食品である。
凍った商品を常温で放置しておくと、そのまま食べることのできるスグレモノであり、市場は毎年拡大。2011年度は316億円(対前年比38%増)という優良マーケットになっている。
シェアは味の素冷凍食品(東京都/吉峯英虎社長)42%、日本水産(東京都/垣添直也社長)24%、その他が34%を握る(味の素冷凍食品調べ)。
《自然解凍》冷凍食品のプライベートブランド(PB)づくりで異彩を放っているのは、パルシステム生活協同組合連合会(東京都/山本伸司理事長)だ。2011年3月には、いなり寿司とのり巻をセットにした「助六寿司」(399円)をメーカーと共同開発して発売。順調に売上を伸ばすとともに《自然解凍》冷凍食品の潜在性を証明している。
《自然解凍》冷凍食品の便利さは、「よりすばやく、より簡単に」調理ができること。お弁当のおかずにするのであれば、電子レンジを使う必要もなくなる。味の素冷凍食品は、この切り替えを「“チン”から“ポン”へ」と表現している。
“チン”は電子レンジ使用を意味し、“ポン”は弁当箱に置くだけという意味である。
電気料金が値上がり、サマータイムが多くの企業で導入されるとなると、早朝からお弁当づくりを強いられる人たちが増える。この時間短縮にも、《自然解凍》冷凍食品は一役買うことだろう。なにしろ“ポン”と置けばいいのだから。
最近では、「弁当を放熱させる時間が不要」「保冷剤がわりに使える」「節電になる」と《自然解凍》冷凍食品の評判はうなぎのぼり――。
消費者の満足度は、64%(2008年)から74%(2010年)と僅か2年間で10ポイントも上昇している(同社調査)。
味の素冷凍食品は、2006年に《自然解凍》のお弁当品を2品種発売することでこの市場に参入。現在8品を展開する《自然解凍》冷凍食品を、今春にはトータル11品として、「節電の夏」を迎え撃つ。
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