組織内におけるポジショニング

2012/01/09 00:00
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 長寿番組『笑点』内の人気「大喜利」コーナーにもっとも新しく加入したメンバーは春風亭昇太さんで2006年5月から。その直後にラジオ番組で本音とも思える心情を吐露していた。

「『大喜利』のメンバーは、みんな自分のポジションと役割を持っているけど、新参者の僕にはない。どうやってつくりだせばいいのか悩んじゃうよね」。

 言われて見れば確かにその通りで、当時の「大喜利」レギュラー解答陣であった5人の落語家は、それぞれ確固たる特徴を打ち出していた。

 三遊亭小遊三さんは「タレントの福山雅治似、犯罪者」、三遊亭好楽さんは「仕事がない」、林家木久扇さんは「バカ」、6代目三遊亭円楽さんは「腹グロ、友達がいない」、林家たい平さんは「恐妻家、遊び人」といった具合だ。

 相互にキャラクターが重複してしまってはいけないし、自分の存在感もしっかりと押し出さなければいけない。

 春風亭昇太さんは、加入から数ヶ月間は、そのことに頭を悩ませ、つい自身がパーソナリティを務める番組でポロっと漏らしてしまったのだろう。

 しかし、さすがに、そこはプロの噺家。その後、「チビ、結婚できない」というキャラクターを設定し、今では、しっかりと自分のポジションを確固たるものにしている。

 そこで考えたのは、この『笑点』のケースのように、どんな小さな組織においても、構成メンバーは、組織内における自分のポジションを確保した方が良いのではないか、ということだ。

 たとえば、人事課なら、「法律に強い」「計算に強い」「パソコンに強い」「面接がうまい」「モノ覚えがいい」「社内に人脈がある」「社外に人脈がある」などさまざまな強みがある。

 その中で、新入りは、配属後に、同じ課の人間を見まわし、役割がかぶらないところに自分を位置付ける――。

 各人が自分のドメイン(戦略的事業領域)を持つことは、強い組織をつくりだすことにつながるはずだ。

 上司が全員を見まわして役割を振っていくというのも悪くはないが、出来ることなら、そのことに自分で気づき、自分のポジションは自分で築き上げたい。

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