優越的地位について

2012/01/06 00:00
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 家電量販のエディオン(大阪府/久保允誉社長)は、2011年12月26日、公正取引委員会(東京都/竹島一彦委員長)から独占禁止法違反で排除措置命令と課徴金納付命令の事前通知を受けた。

 排除措置命令は、納入業者に対する優越的地位の濫用に関するもの。エディオンは「当社が優越的地位を有している認識や取引上の地位を不当に利用した行為を行ったなどの認識はなく、今後の対応につきましては内容を慎重に検討した上で対応していく所存」としている。

 さかのぼる、12月13日には、日本トイザらス(神奈川県/モニカ・メルツ社長)が公取委から優越的地位の濫用で排除措置命令と課徴金納付命令を受けた。

 日本トイザらスは、同日、「優越的地位を有していたという認識は全くなく、また、取引上の地位を意図的に不当に利用するような行為も全くなかったとの認識でおります」とコメントしている。

 濫用行為の有無は、いずれ明らかになるはずだが、ここで問題視したいのは、エディオンと日本トイザらスの2社が「優越的地位を有していない」と認識している点である。

 優越的地位を「有する」「有さない」の根拠は、「大規模小売業告示」にある。独占禁止法第2条第9項第6号に基づき、2005年に制定された。大規模小売業者の納入業者に対する優越的地位の濫用を規制するルールである。

 ここでいう大規模小売業者とは、①前事業年度の売上高が100億円以上の者、または②東京都特別区及び政令指定都市で店舗面積3000㎡以上、その他の市町村においては店舗面積1500㎡以上のいずれかのこと。コンビニエンスストア本部などのフランチャイズチェーンの形態をとる事業者も含んでいる。

 一方、納入業者とは、大規模小売業者が販売(委託販売含む)する商品を納入する業者のことだ。注意書きとして、その取引上の地位が当該大規模小売業者に対して劣っていないと認められる者を除くとある。

 けれども、『チェーンストアエイジ』誌2011年9月15日号の特集「日本の小売業1000社ランキング」によれば、エディオンの売上高(連結)は9010億円と日本では第7位の規模。日本トイザらスは同1625億円で同79位――。

 社員や株主に対する建前上、「優越的地位を有していない」とコメントしたのかもしれないが、日本有数の小売企業がこうした認識では、はなはだいけない。

「そうは問屋が卸さない」と言われた時代は、はるか昔のこと。日本の小売業はチェーンストア化を推進することによって、着実に、確実に大きな力をつけてきた。

 お上も、そのことを十分に認めているのである。

 それを都合が悪くなった時だけ、「力がありません」と知らぬ存ぜぬを装うようでは、小売業界の信頼性は地に落ちるだろうし、その地位はいつまでたっても向上しない。

 少なくとも、大規模小売業者の該当企業は、「優越的地位を有している」としっかり受け止めたい。

 もし、仮に「有してない」と反論があるのであれば、違反行為を疑われる前に、業界としてまたはグループとして、あるいは単独企業として、異議を申し立てるべきであろう。

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