「阿久悠記念館」に行きました
今年10月28日にオープンした「阿久悠記念館」に行った。
阿久悠さんについては、いまさら説明不要だろうが、2007年に亡くなった日本でもっとも成功した作詞家の1人だ。享年70歳。
シングルレコードの売上枚数は、実に6828万枚。
2位の松本隆さん、3位の秋元康さんには2000万枚近い差をつけて圧倒的なトップの座に君臨している。
『また逢う日まで』(尾崎紀世彦さん)、『北の宿から』(都はるみさん)、『勝手にしやがれ』(沢田研二さん)、『UFO』(ピンク・レディー)、『雨の慕情』(八代亜紀さん)…と幅広いジャンルで超大ヒット曲をいくつも書き上げた。
『瀬戸内少年野球団』などの小説では、通算3回、直木賞候補に挙がった。
「阿久悠記念館」は、明治大学文学部出身の阿久悠さんの遺族が同大学に寄贈した約1万点の遺品展示室だ。日本レコード大賞のトロフィーや楯、直筆の原稿など、現在は、そのうちの約150点が展示され、随時入れ替えながら紹介する。
館内には、静岡県伊東市宇佐美の自宅の書斎を再現。畳四畳半ほどのスペースで蔵書の数々が並んでいる。
また、「阿久悠の歌」のコーナーでは、彼の代表曲の数々を実際に聴くこともできる。
帰路にて、阿久さんの「私の履歴書」をまとめた文庫本『生きっぱなしの記』(日経ビジネス人文庫)を購入。一気に読んだ。
引っ掛かったのは、阿久さんの生き方を象徴する「期待以上」という“四字熟語”だ。
少々抜粋すると、「ぼくは自分に与えられた仕事がつまらないと認めることが厭なので、つまらないと思える仕事ほど一生懸命やるところがあった。無駄な抵抗に過ぎないこともあって、つまらない仕事はつまらない仕事、どう力や知恵を注いでも金ピカにならないことも多いのだが、ぼくはとりあえず、期待以上のものにすることを仕事の姿勢にしていた。それは今もつづいている」(p199)。
これを繰り返しているうちに、阿久さんのことを注目してくれる「誰か」が次々と現れ、才気煥発な阿久さんに多くの機会を与えてくれたのだという。
あれほどの才を抱えていた阿久さんにして、これだけの努力――。
凡人、いずくんぞ、である。反省、反省!
なお、「阿久悠記念館」開館時間は午前10時から午後5時までで、入館料は無料。8月10日から16日と12月26日から1月7日以外は年中無休だ。
住所:東京都千代田区神田駿河台1-1 明治大学アカデミーコモン地階
電話:03-3296-4329
HP:http://www.aqqq.co.jp/top_news/kinenkan.html
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