ウォルマート(西友)のマッディング・ウォーター作戦
もうこのBLOGでは、何度も書いていることなのだが、また「マッディング・ウォーター(muddying the water)」作戦についてである。
「マッディング・ウォーター」とは、体力のない中小小売業がウォルマートのEDLP(エブリデー・ロー・プライス)戦略に対抗するために、敵を“煙に巻く”ような奇策のことを言う。
しかし、今日紹介する「マッディング・ウォーター」の実践者は、そのウォルマート傘下の西友(東京都/スティーブ・デイカスCEO〈最高経営責任者〉)だ。
同社は、本日12月8日から11日まで、全国の「西友」「リヴィン」「サニー」の364店舗で「金銀バスプラ」キャンペーンを実施する。
西友のバスプラ(=バスケットプライス:買物1回当たりのトータル金額)がどれほど安いかを実感してもらうことを主旨にしたキャンペーンだ。
1回の食品売場レジでの精算金額が5000円(税込)以上の場合は、西友オリジナルの「金の延べ棒ティッシュ」、3000円以上5000円未満(税込)の場合には、「銀の延べ棒ティッシュ」をプレゼントするという単純な企画である。
なんだ、とバカにするなかれ。
EDLPのベストオペレーターであるウォルマート傘下の西友がこんなに地味で地道な企画に着手していることに注目したい。あのウォルマートが買い上げ金額に応じて、「おまけ」をつけているのである。
EDLP+(対抗策)「マッディング・ウォーター」=鬼に金棒。
中小小売業には付けこむ隙間がないのではないか?
もはや、街角で配布されるポケットティッシュを心からほしいと考えている生活者は、そんなにはいないだろう。
けれども“金の延べ棒”“銀の延べ棒”と聞けば、少しは心に響き、食指も動くというもの。少なくとも私は、そう思っている。
しかも、いまやティッシュは、180枚のボックスが80円もしない時代。粗利益額1000円(売上5000円×粗利益率20%)のうち80円を販売促進費に充てることは、それほど痛くはない。
あまりに、ちゃちいノベリティーなら御免こうむるが、あとで西友に行って、実際に実物を見てから、買物金額を決めよう。
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