テスコジャパン撤退考
世界第4位の規模を持つ小売業の英テスコが日本市場から撤退する。
2003年に「つるかめ」などのディスカウントストアを展開するシートゥーネットワークを買収してテスコジャパン(東京都/ウィリアム・パトリック・オニール社長)を設立、日本市場参入を果たし、現在は132店舗の都心型小型スーパーを展開している。
テスコは、過去にもフランスと台湾で事業を撤退した歴史を持つ。「ダメだと感じたらすぐやめる」は、出口戦略の常套手段だから、当たり前と言えばきわめて当たり前の戦略で特に驚きも感想ない。
ただ、当たり前と言えなかったのは、同社の広報戦略である。
社長を含む幹部や店舗取材を一切受け付けなかった。
同じグローバル企業のウォルマート、コストコ、イケア、アマゾンなどは、細かな数字は出さずとも情報開示に努めていることと比較するとずいぶんと対照的だ。
「情報とは『情けに報いるもの』」と書いていたのは、『太平洋の生還者』や『読むクスリ』などでおなじみのノンフィクション作家の上前淳一郎さん。情報を出さない企業には入ってこないものであり、その分、テスコは孤立無援だったのではないだろうか?
(『チェーンストアエイジ』誌2011年9月15日号)
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