させていただく
「させていただく」なる言葉が流行している。
話をさせていただく、評価させていただく、拾わさせていただく、などという感じで使われている。
謙譲語の一種なのだろうが、10年前にはなかった。
ビジネスシーンのみならず、テレビやラジオのアナウンサーも使っている。
本当のことを言えば、私も使っている。
私が使う理由は、「楽だから」の一言に尽きる。
「おじゃまする→行かさせていただく」「申し上げる→言わさせていただく」「拝見する→見させていただく」という具合に「動詞」に「させていただく」を付け加えれば、何となくその場はしのげてしまう容易さがあるからだ。
極力、使わないように心掛けているのではあるが、適当な言葉が思い浮かばない時には、ついつい使ってしまっている。
さて、2010年12月2日のBLOGで「『またそのさま』としての謙虚」について書き、ただただ頭を下げながら、心の中では「ベッ」と舌を出しているのかもしれない謙虚のことを批判した。
そして、よくよく考えると、「させていただく」という言葉づかいも「『またそのさま』としての謙虚」なのだと思う。あるいは、謙譲語でも何でもない記号としての言葉とも言える。
私としては、「させていただく」を、さらにさらに使用しないように気を張るとともに、使っている人の話は、眉に唾をしながら聞きたいと考えている。
千田直哉の続・気づきのヒント の新着記事
-
2024/09/02
魅力的な売場…抽象的な誉め言葉の意味を明確化するために必要なこととは -
2024/08/02
日本酒類販売社長が語る、2023年の酒類食品流通業界振り返り -
2024/07/03
「何にでも感激する経営者」の会社が業績が良い“意外な”理由 -
2024/06/07
経費率16%なのに?ローコスト経営企業が敗れ去るカラクリとは -
2024/05/23
キットカットをナンバーワンにしたマーケター「アイデアより大事なこと」とは -
2024/04/15
スーパーマーケット業界のゲームチェンジャー、オーケー創業者・飯田勧氏の経営哲学とは