「空いている」ことが競争力
B2B(企業間取引)の“仕入れ”ビジネスで重要なのはスピードだ。
たとえば、工務店などの建築業者は、早朝にホームセンターに立ち寄り、当日、使う建築資材を必要なだけ、一刻も早く購入して現場に向かいたいものだ。
道路は混雑するかもしれないし、天気は変わるかもしれないし、とにかく早く現場に到着して今日の仕事に取り掛かりたいものだからだ。
メトロ(東京都/石田隆嗣社長)や業務スーパー(運営は神戸物産〈兵庫県/沼田昭二社長〉)、A-PRICE(運営はトーホーフードサービス〈兵庫県/山中幹生社長〉)などの業務用食品現金卸売業店舗を利用した食材の仕入れも同じだ。
レストランやバーの経営者には、たっぷりと時間があるわけではない。パパママストアならなおのこと。店舗に立ち寄ったらば、ショートタイムで仕入れをして、精算して、その日の仕込みに取り掛かりたい。
では、仕入れ側のスピード要求を充足させるために、B2B小売業に求められる条件とは何か?
そのひとつはレジ待ち時間のないことである。2つには、短い時間でも商品をじっくり吟味できること――。突き詰めて言うなら、「空いていること」である。
実は、早朝のホームセンター、キャッシュ&キャリー型の店舗も「儲かっているのかなあ?」と不安を感じるほどにガラガラのケースが多い。メトロなどは「空いている」店舗の典型である。
でも、「それが競争力なんです」とB2Bの企業は揃って断言しているから面白い。
B2C(対消費者)の商売との比較で言えば、客単価が大きいから、それでも採算が合うのだろう。
強い店舗と聞くと、紋切的にお客がレジに長蛇の列をつくることを連想してしまいがちだが、ことB2Bビジネスでは、この原則は成り立たない。
「空いている」ことが店舗競争力になることもあるとは商売は本当に奥が深い。
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