平富郎エコス会長の面白くてためになるスピーチ
1月12日、さえき(東京都/佐伯行彦社長)の賀詞交歓会が開かれた(@立川グランドホテル)。
主賓の平富郎エコス(東京都/平邦雄社長)会長の面白くてためになるスピーチをお届けする。(1月15日のBLOG「さえきグループ、4年後には年商1000億円」も合わせてお読みください)
1979年の創業以来、さえきを応援してきた。それが今年、創業32年。光陰矢のごとしだ。
当時のさえきの電話番号の末尾は、「3189」。〈みんな、いい、やさいとくだもの〉と読めるので、八百屋のスタートとしては非常に縁起が良く、うまくいく、と確信したものだ。
しかし、物事は一面から見ていてはダメだ。
「3189」も読み方によっては、〈さいあく〉、となる。物事は多面的に見なければいけないという典型的な例である。
さえきの佐伯行彦社長は元気だ。その源泉になっているのは、グループ年商1000億円を何としても達成したいという執念にあると私は考えている。
現在の年商は400億円。7~8年前にも同じこの席で1000億円をぶち上げていた。
その当時は、実に空々しくて、大風呂敷で胡散臭く感じた方たちもいただろうが、現在の年商を見れば、現実味が帯びてきた。
そんなことを考えて30年前をしみじみと思い出した。
経済の現状を顧みると、「失われた20年」と言われるような体たらくが続いている。人間は、一度、バブルのような甘い水を飲んでしまうと辛い水は飲めなくなってしまうものだ。それが「失われた20年」の根底にはある。
佐伯社長には、一度も甘い水を飲まないで、辛い水をすすりながら1000億円まで到達して欲しいと思う。
一昨日、佐伯社長のお母様の元に年始で挨拶にいった。93歳。元気だった。
2010年に良く売れたのは、「健康」「高齢化対応」のキーワードを具現化した商品。お母様の様子を見ていて、「なるほど」と納得した。
「失われた20年」の後半の10年は、消費者は価格だけに流れたが、お母様の様子を見ていると、これからはそればかりではないことが分かる。
団塊の世代が65歳を迎える。彼らは退職金を貰ったし、年金も貰えるから、豊かである。この人たちは、まぐろでも牛肉でも“いい物”を買う購買力がある。
きっとだからなのだろう。昨年あたりから、いい牛肉やいいまぐろがどこの店舗でも売れたはずだ。
もちろん、裾モノも売れた。裾モノを進んで購入するのは20代~40代だ。この世代はバブル景気の恩恵を受けていない。年収は右肩下がりで低賃金。しかも、子供の教育、家のローン、クルマの月賦支払いなどに追われてカネがない。だから、低価格に飛びつくしかない。
一方で、こうした支払いやローンの呪縛から解放され、退職金をもらい年金が入ってくる65歳以上は、かなりの大きなマーケットだ。
佐伯社長のお母様の元にも、ちゃんと1人用の栄養、カロリーのバランスがとられた弁当が届けられていた。健康に気を付けるためには、どんなに高くてもしっかりした弁当を買うものだ。
しかも、高齢になれば、糖尿病や高血圧、高コレステロールなどの症状が出てくる。
自分を重ねてしみじみ思うのは、長生きするためには、どんな高いものでも買って、食べるということだ。
日本の金融資産は1400兆円あると言われているけれども、その大半は60代~80代が持っている。若い人は持っていない。
20代~40代のマーケットも大事だが、儲からない。カネのない人を相手にした商売だから。商売の原則は、カネ持ちに売った方が儲かるということだ。佐伯社長も1000億円を目指す中で、「健康」「高齢者対応」の切り口で新しい市場を開拓して欲しい。
さて、話は変わるが、佐伯社長は、「俺が口を出さない方が、会社の経営はうまくいく」と最近どこでも言っている。
そんなのは当たり前だ、と言いたい。どこの会社も創業オーナーがギャビーギャービー言っていたらみんな萎縮してしまって、固まってしまう。
言いたいことを我慢する。泣きたいのも我慢する。怒りたいのも我慢する。
そうすると利益につながる。企業とはそういうものだ。
「400億~500億円の社長はとにかく我慢すること」と佐伯社長に贈りたい。
というわけで非常に変化している日本の市場であり、政治もあてにならず、景気回復も望めない。
こういうときは、自分がしっかりするしかない。
業績が悪いのはしっかりしない自分に問題がある。
わが社の景気は自分でつくらなければいけません。
(拍手!)
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