ワタシ・イン・ワンダーランド
作品としての映画『アバター』(ジェームス・キャメロン監督)の出来の悪さに辟易としていたはずなのに、3D(three dimensions=3次元)映像とコンピュータグラフィックの最新技術を実感したいがあまり、性懲りもなく『アリス・イン・ワンダーランド』(ティム・バートン監督)を観に行ってしまった。
急な思いつきの鑑賞になったので、確保できた席は前側の中央。さすがに話題の作品なので会場は超満員で自由には身動きが取れないほどの混みようだった。
ストーリーは、ルイス・キャロルの『不思議の国のアリス』、『鏡の国のアリス』を合わせたオリジナルというが、いつか読んだ懐かしの絵本の上書きでわくわくさせられるところはなかった。3Dじゃないとちょっと耐えられない。
それでも、アリス・キングスレー役のミア・ワシコウスカや“いかれ帽子屋”マッド・ハッター役のジョニー・デップ、赤の女王役のヘレナ・ボナム・カーターの熱演には圧倒されてしまった。
さて、ここからが本題――。
『アリス・イン・ワンダーランド』を観ながら、体調に不調を感じたのは、アリスがヴォーパルの剣を奪還するために赤の女王の城に乗り込んだあたりのこと。車に酔ったような感覚に襲われ、何となく気持ち悪くなった。むかむかは、映画終了までずっと続き、館外に出た時にはふらふらだった。
後で聞けば、3D映画は、右目と左目の見え方の差についての立体感は再現できているものの、人間が立体感を認識するもう一つの機能である水晶体の厚みについては、再現できていないため、脳が混乱して、酔う人がいるらしい。
というわけで、映画館を出たときには、ぐったり。アリスの世界を体感しながら、「ワタシ・イン・ワンダーランド」となってしまった。
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