寡占化進めど、効率化進まず
小売市場の寡占化が進んでいる。
米国の小売業界の後を追うように変遷してきた感のある日本の小売市場は、ここでも米国の後追いをしているようだ。
たとえば、米国の場合、1970年代には200社が存在した百貨店業界のプレイヤーは2000年代に入って17社を数えるのみになっている。ディスカウントストアフォーマットは、ウォルマート、Kマート(シアーズ・ホールディングス)、ターゲットの3社で雌雄を決してしまっている。ドラッグストアなら、ウォルグリーン、CVSケアマーク、ライトエイドの3社。ホームセンター(HC)はホームデポとロウズの2社といった具合だ。
そして、日本にも、同じような波が押し寄せている。
百貨店は、三越伊勢丹ホールディングス(東京都/石塚邦雄社長)、J.フロントリテイリング(東京都/奥田務社長)、そごう・西武(東京都/山下國夫社長)。また高島屋(大阪府/鈴木弘治社長)及び同社との経営統合を断念したエイチ・ツー・オーリテイリング(大阪府/若林純社長)の5グループで市場の約70%のシェアを握る。
GMS(総合スーパー)はイオン(千葉県/岡田元也社長)グループとイトーヨーカ堂(東京都/亀井淳社長)の2グループで約60%のシェアを確保している。
コンビニエンスストア(CVS)はセブン-イレブン・ジャパン(東京都/山口俊郎社長)、ローソン(東京都/新浪剛史社長)、ファミリーマート(東京都/上田準二社長)の3社で約71%のシェアを占めている。
なにやら、ドラッグストアも離合集散を繰り返すなかで、おぼろげながらもグループ化の枠組みが出てきたような様相だ。
寡占化が進む業界では、その取引先であるメーカーや卸売業の業界再編も加速させる。「巨大化」「総合化」「広域化」をテーマにして、業種や業態を越えた合従連衡の動きが激しくなっているのは、このためだ。
また、寡占市場の中では、取引関係も新しいものが求められる。ウォルマートと米国P&Gに代表される「戦略的同盟」的な取引関係が生まれるものと予想できる。敵対関係からパートナーシップの構築である。
実際に日本でもメーカーや卸売業との間に「戦略的同盟」を構築する小売業もでてきている。
こうしたパートナーシップを構築するのだから、本来、市場を寡占化した企業の収益性向上は図られてしかるべきだ。ところが、日本市場では、寡占化に成功した上位企業の収益性がともなっていないことが多い。
とくに、M&A(合併買収)で企業規模を拡大し、寡占市場のリーダー的存在になった企業はこの傾向が顕著である。
同一資本になったものの、旧来からの物流やIT(情報技術)を各社がそのまま温存しており、その融合に時間がかかり過ぎていることが最大の原因だ。
また、人的な融合が図れず、規模拡大と市場寡占化には成功しても、内部はガタガタという企業も散見できる。
こうなると、何のための企業規模拡大なのか分からなくなってしまう。
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