ロコンド代表取締役社長 田中 裕輔
プラットフォーム事業を、EC事業に次ぐ収益の柱に育てる!
課題解決の提案を続ける
社内のスタジオで商品を撮影する。他社のECサイト運営をサポートするプラットフォーム事業では写真撮影から物流までサポートする
──新たに取り組んでいる事業はありますか。
田中 新たな取り組みとして、海外ブランドの日本進出のサポートに力を入れます。当社のプラットフォームの活用を積極的に進めていきたい。
その第一弾として、イギリスのグローバルアパレルブランド「ALLSAINTS(オールセインツ)」に、16年4月よりサービス提供を始めています。海外のブランドが日本に進出する場合、在庫管理や物流などゼロから始めるのは大変な労力がかかります。しかし、当社が提供するサービスを利用すれば、在庫管理はもちろん、実店舗でもECサイトでも商品を販売できる。オールセインツからはECサイトの開発から運用、在庫管理、商品の発送までバックヤード業務をBOEM、BOSS、ロコチョクのフルパッケージでサービスを提供する点で評価を受けています。
そして、ロコチョクの展開も強化します。現在、ロコチョクのサービスの対象となるのは利用企業が扱っているブランドのみです。これを百貨店向けに、ロコンドで取り扱っている1400ブランドを店舗で注文できる「ロコチョクD」をローンチします。
最近、日本全国の百貨店を回っていて、アパレルや靴など、とくに地方の百貨店は欠品が多く、扱うブランドの数も少ないと気づきました。そこで店頭に在庫がない場合、ロコンドのECサイトで扱う10万アイテムを店頭で販売員が注文すると、店舗またはお客さまの自宅に配送するというシステムを開発しました。現在はいくつかの百貨店で導入に向けた商談を進めている最中で、最短では今年の8月にサービスを開始します。
たとえば、当社はイタリアの婦人靴ブランド「FABIO RUSCONI (ファビオ ルスコーニ)」の商品を約500アイテム取り揃えていますが、百貨店で同規模の商品を取り揃えることは不可能でしょう。百貨店はロコチョクDのサービスを利用することで、欠品による販売機会の損失が減ります。また、アパレルメーカーにとっては実店舗の設備や販売員などの投資ゼロで販路を広げられるため、Win-Winの関係を築くことが可能になるのです。
(上)商品を発送する様子。無料でサイズ交換や返品に対応する
──今年2月、楽天(東京都/三木谷浩史社長)と資本提携しましたが、どのようなねらいがあるのですか。
田中 昨年秋に楽天さんのECモール「楽天市場」内に「LOCOMALL(ロコモール)楽天店」を開設しました。同店の売上が好調なことから、協業体制を強化したいと考え、締結に至りました。
まずはこのロコモールの規模をさらに拡大するのが先決ですが、楽天さんは今年から「楽天グローバルマーケット」を展開するなど、中国を中心としたアジア市場の開拓に力を入れています。当社は海外展開を視野に入れているので、この分野でも楽天さんの力を借りたいと考えています。
──成長戦略を描くうえで、目標としている数値はありますか。
田中 中長期的には20年に取扱高1000億円という目標を掲げています。目標達成に向けて、EC事業、プラットフォーム事業それぞれの拡張はもちろん、M&A(合併・買収)による規模拡大を加速させることも検討しています。ファッションEC専業企業は、合従連衡が進んでいますが、まだまだ可能性のある企業も多くあります。われわれはすでにECのプラットフォームを持っているので、ファッションを中心に幅広いパートナーを選択できると考えています。
品揃えの幅を広げる意味でも、アパレルメーカーや小売企業との間にもっと密な関係を構築したい。そのためには商品を預かり、ECサイトで販売するだけではなく、利用企業の抱えている課題をトータルに解決する提案を続けていきたいと考えています。
16年2月期の売上高は約100億円、内訳はEC事業が出荷高ベースで約80億円、プラットフォーム事業が約20億円です。目標を達成するためには主力のEC事業の売上高を伸ばすことはもちろんですが、プラットフォーム事業の拡大も重要になると考えています。目標とする売上高1000億円の内訳ですが、EC事業が50%、プラットフォーム事業が50%と見込んでいます。