アマゾン ジャパン ライフ&レジャー事業本部 統括事業本部長 バイスプレジデント 渡辺 朱美
PB商品でも「地球上で最も豊富な品揃え」めざす!
──「PBストア」の開設はアマゾンにとってどんなメリットがあるのですか。
渡辺 「PBストア」に出品いただいているのは、以前からアマゾンのプラットフォームをご利用されていた販売事業者さんです。アマゾンが「PBストア」として再編集しなくても、消費者が検索し購入できるようになっていました。
しかし、「PBストア」としてまとめることで、PB商品を求めて「amazon.co.jp」を訪れるお客さまに、検索のしやすさ、簡単に比較できる利便性を提供できるようになります。これは訪問者や売上アップにつながるのです。
アマゾンは、そのビジョンの1つに「地球上で最も豊富な品揃え」を掲げています。これまでも、そして、こらからもナショナルブランド(NB)商品を増やすことに取り組みますが、PB商品をさらに拡充する1つの手段として「PBストア」をスタートさせたのです。
膨大な数の商品に埋もれるPBを目立たせる
──「PBストア」は、すでに出品していた小売業のPB商品を単純に括り直しただけのように見えますが、なかなか考えつかない斬新なアイデアです。日本以外のアマゾンにも「PBストア」のような取り組みは見受けられません。
渡辺 アマゾンは、アメリカをはじめ、イギリス、フランス、ドイツ、イタリアなどでも事業を展開していますが、私が知る範囲では、日本以外のアマゾンで「PBストア」のような括りでサイト内にストアを設けているケースはないと思います。
「PBストア」は、私が管轄するライフ&レジャー事業本部にPB商品が多いことから、まずは始めたというのが本当のところです。
アマゾンは、取扱商品のマーチャンダイジング(MD)と販売を担うリテール部門、サイト上で事業を展開する企業を開拓・支援するマーチャントサービス部門、確実かつ早いデリバリーを支え、顧客満足度の向上を実現させるオペレーション部門などに分かれていて、それぞれが有機的に連動し、アマゾンのサービスを支えています。
そして、アマゾンは、自社で商品を仕入れて販売する「リテール」のビジネスモデルと、メーカーや小売業など販売事業者さんに出品していただく「マーケットプレイス」のビジネスモデルの2つに大きく分けられます。
私が管轄するライフ&レジャー事業本部は、リテール部門内にあり、(1)DIY・カー・バイク用品、(2)スポーツ&アウトドア、(3)ベビー・おもちゃ・ホビー、(4)ホーム&キッチン・ペットの4事業部から成ります。
ライフ&レジャー事業本部内では、アマゾンに出品する販売事業者さんをもっと増やし、アマゾンのプラットフォームを活用いただき、われわれのビジネスをさらに成長させるにはどのようなことが必要かを議論していました。
その時、DIY・工具・ガーデニングなどのカテゴリーにPB商品が多くあることに気づきました。しかも、この分野のPB商品は、膨大な数の商品に埋もれてしまっているきらいがありましたから、そこにフォーカスしてみようとなったのです。「PB商品だから価格競争が起こりにくいのではないか」「PB商品として括ることでより価値を訴求しやすくなるのではないか」「アマゾンのプラットフォームをより活用いただけるのではないか」と考えたのです。そして「PBストア」の開設がある程度決まった段階で、私のほうからほかの事業部に声掛けしたのです。食品やヘルス&ビューティケアなど、私の管轄以外のカテゴリーが「PBストア」にあるのはそのような経緯からです。
──「PBストア」は渡辺本部長の管轄になるのですか?
渡辺 そうです。アマゾンはとても面白い働き方ができる会社で、各事業部や部署が考えた企画でも部門横断的に実施できます。“言いだしっぺ”が旗を振って取り組む文化がありますので、「PBストア」に関しては私のところが主体となって動いています。
──販売事業者数と品揃えは積極的に拡大していくと聞いています。どのカテゴリーの商品を増やすのですか。
渡辺 まだまだ手薄な食品や日用品、衣料品はとくに拡充させていきたいと考えています。目標は設定せず、PB商品でも「地球上で最も豊富な品揃え」を追求していく方向です。