夢展望株式会社 代表取締役社長 岡 隆宏
「価格競争から脱しようとSPAを志向した」

2014/06/30 14:00
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毎月400アイテムを開発

──SPA型企業を志向した理由は何ですか。

 

 かつて販売していたオリジナルの玩具は、自社で企画し、中国の工場で製造していたので、ある程度のノウハウはありました。しかしここ数年で、SPA型の企業戦略へと一気に舵を切ったのは、価格競争から脱したいと思ったからです。

 

 以前、ある人気商品がありました。1週間に3000個が売れるヒット商品でした。しかし急に売れなくなり、不審に思って調べたところ、仕入れ先の卸問屋が、当社と競合するネット販売業者に、その商品の営業をかけていたとわかりました。仕入れた他社が、うちより値段を500円下げて販売していたというわけです。いくら一生懸命、コストをかけ、プロモーションしたところで、結局のところ価格が安ければ他社に負けてしまう。それなら自社のオリジナル商品を販売するしかないと悟りました。

 

──大きな転機ですね。

 

 販売力があり、製造ロットがまとまれば、中間流通コストを省けるため、低価格を実現できます。リアル店舗が提供している価格の20%で商品をつくり、その2.5倍、つまり一般的な価格の半値で売っても利益を確保できるのです。何より、価格決定権が当社にあるということが最も大きな強みです。また消費者から見れば、夢展望でしか買えない商品なので、当社のオリジナル性も発揮できます。

 

──とはいえ、若い女性をターゲットに売れる商品を出し続けるのは、難しいのではないですか。

 

 はやり廃りのサイクルが短く、常にトレンドを把握しておく必要があります。大阪ならミナミ、東京は渋谷などに足を運び、人気店などを定期的に訪問、定点観測しています。また主要雑誌をチェックするほか、インターネットを使って幅広く情報収集し、商品に反映させています。

 

──安くていい商品なら売れる。

 

 いえ、ファッションの場合、ただウェブサイトに情報を載せているだけでは売れません。重要なのは、その商品のイメージ、価値などをプロモーションによってブランディングすることです。当社の場合、有力誌での広告掲載、テレビ番組への衣装提供を続け、やっと買ってもらえるようになりました。

 

 サイトに掲載する画像も徹底的にこだわっています。全商品、モデル着用で、商品のデザインに合った背景を選ぶなど、商品の価値、魅力を最大限に伝えられる努力をしています。以前、制作分野は外注していましたが、現在はすべて自社で行っています。カメラマン、デザイナーは社員、またスタジオも社内に設置しています。

 

──他社との差別化になりますね。

 

 自社内での一気通貫は、一見、非合理的に見えますが、結果的にローコストで、高いクオリティの商品をつくれます。またノウハウの流出も防げるメリットがあります。

 

 商品開発もスピーディーに行えます。現在、毎月400アイテムを新たに開発していますが、企画から製造、販売までかかる期間は最短で3週間と、他社にはない速さを実現しています。購買傾向を見ながら、トレンドが変わったり、何か問題が起こったりした時などはすぐに対処できるため、リスクも最小限に抑えられます。

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