夢展望株式会社 代表取締役社長 岡 隆宏
「価格競争から脱しようとSPAを志向した」
一貫しエンタメ性を追求
──座右の銘は「七転び八起き」とのことですが、数々の経験を経て、現在のビジネスのかたちへたどり着いたそうですね。そもそも商売に興味を持ったのはなぜですか。
岡 大学時代は、当時、話題になり始めていたレンタルレコード店でアルバイトしていました。テニスサークルのほか、広告研究会にも入っていたのですが、そこで得た手法を生かそうと考えていました。実際、レンタルレコード店のオーナーと一緒に戦略を練り、5~6店まで広げました。商売に目覚めたのはその時です。
──卒業後は一旦、メーカーに入社したのですね。
岡 そうです。就職したのは大企業で、出世意欲はありました。しかしある日、先輩から賃金テーブル見せてもらい、7年先まで自分の給料がすでに決まっている事実に大きな衝撃を受け、研修終了後に辞めてしまいました。
それから学生時代にアルバイトしていた会社に社員として戻って、多様なビジネスに携わりました。ビデオやゲームソフトのレンタル、販売、電子玩具の製造、卸などですが、一度はうまくいくものの、いずれも何かの問題が起き、危機を迎えるということの連続でした。
──そして98年に独立、会社を設立されます。
岡 当時、フィギュアやトレーディングカードといったホビー関連商品の製造、卸をやっていました。その後、健康関連の仕事をやろうとダイエット食品の販売にも着手しました。しかし経営はなかなか安定しませんでした。
ある時、新たな商品を検討したことがありました。当時、ガラケーサイトの会員は10万人おり、全員が若い女性でした。社員皆で検討したところ、服や靴、バッグ、グルメ関連、家電などの意見が出たので、それらすべてを販売することにしました。試験的に2ヵ月続け、最も反応がよかったのがブーツ。そこで会社の経営資源をそこへ集中させることにしました。07年頃の話です。
──以降、ファッション関連の商品がメインになる。
岡 実際には、販売チャネルがガラケーからスマホへ移行するにあたり、いくつもの波乱があったのですが、徐々に衣料品への需要が多くなりました。
振り返れば、当社の歩みは脈絡がないように見えるかもしれません。しかし自分としては「エンターテイメント性」を追求してきたことで一貫していると考えています。私は基本的に、人をわくわくどきどきさせることが好きです。現在も、商品の見せ方、提案といったあらゆる面でエンタメ性の要素を盛り込みたいと思っています。