トルコ小売業協会 会長 メフメット・ナネ(Mehmet T.Nane)
トルコは30カ国5億人市場への「ハブ」、海外企業の参入を歓迎する!

2012/12/17 13:00
Pocket

──小売業についても、外国からの投資が増えていますか?

 

ナネ トルコは食品小売業で見ると、ヨーロッパの大手企業──たとえばカルフール、メトロ、テスコなどが進出しています。家電分野では、メトログループのメディアマート(Media Markt)、ダルティ(Darty)、エレクトロワールド(Electro World)が、DIY分野ではバウハウス(Bauhaus)、バウマックス(bauMax)、キングフィッシャー(Kingfisher)が店舗展開しています。アパレルではプラダ、ルイヴィトン、エルメス、ディオール、シャネル、ミウミウなどの高級ブランドを含む大手各社が出店しています。

 

 来年はアジア太平洋小売業者大会(APRCE)をトルコで開催しますが、それ以降、日本を含むアジア各国の企業がますますトルコに進出すると期待されています。なぜならばトルコはアジアの国にとっては“最も近い西洋の国”で、西洋の国にとっては“最も近いアジアの国”だからです。

 

──日本の小売業の中に、トルコに進出している企業はありますか?

 

ナネ 良品計画(東京都/金井政明社長)など数社がすでに進出していますが、超大手小売業はまだ来ていません。しかし、日系の大手製造業──ブリヂストン(東京都/津谷正明社長)、日産(神奈川県/カルロス・ゴーン社長)、シャープ(大阪府/奥田〓司(おくだ・たかし)社長)、パナソニック(大阪府/津賀一宏社長)、ソニー(東京都/平井一夫社長)などはすでにトルコ市場に参入しており、トヨタとブリヂストンは現地生産もしています。そのほかにも三菱商事(東京都/小林健社長)、三井物産(東京都/飯島彰己社長)、住友商事(東京都/中村邦晴社長)などの大手商社も現地事務所を持っています。

 

──今後、日本の小売業がトルコの市場に参入する可能性もあります。外資系小売業がトルコ市場に参入する場合、規制はありますか?

 

ナネ トルコの市場はとても開かれており、海外からの直接投資を誘致するための政府機関もあります。1対1で投資の相談を受け、さらなるインセンティブを与えられるよう首相と直接相談して海外投資を受け入れています。

 

──一方で、海外企業が増えると競争も激しくなります。

 

ナネ そうですね。ただ、そうした競争がトルコの市場に勢いをもたらすのです。

 

 日本企業はトルコに進出すれば、大きな市場にアクセスできるようになります。トルコは周辺地域にとって重要なハブとなっており、トルコを中心に、飛行機で2~3時間圏内に30カ国、約5億人が住んでいます。トルコを拠点にすれば北アフリカ、東欧、バルカン諸国、中近東などへの足がかりが築けます。オスマン帝国が600年以上ここを支配していたのは、このような地理的に重要な場所にあるからです。

 

 そして、そうした国々の中で、トルコはもっと近代的で、かつ唯一の民主主義国なのです。

 

──トルコの小売市場が現在、抱えている課題とは何ですか? また、世界的にインターネットショッピングの動向が注目されていますが、トルコではいかがでしょうか。

 

ナネ 近隣諸国をはじめ海外市場への進出が目標です。実際に海外進出を成し遂げたトルコのブランドはたくさんあります。とくにアパレルとテキスタイルの企業で、欧米を中心に海外進出しているブランドは多数あります。サナー(Sanar)、コリンズ(Colin’s)、マヴィ(Mavi)などは米国にも進出しています。

 

 また、今後はインターネットショッピングの分野が伸びるでしょう。インターネット販売が国内取引に占める割合はまだ1.8%程度ですが、トルコにはインターネットを使い慣れた若い世代の人口が多いですから、今後大きく伸びる可能性があります。

1 2 3
© 2024 by Diamond Retail Media

興味のあるジャンルや業態を選択いただければ
DCSオンライントップページにおすすめの記事が表示されます。

ジャンル
業態