トルコ小売業協会 会長 メフメット・ナネ(Mehmet T.Nane)
トルコは30カ国5億人市場への「ハブ」、海外企業の参入を歓迎する!
小売市場の成長率は9% 若年層が高成長をけん引
──トルコ国内の小売市場はどのように推移していますか?
ナネ 過去5年間の平均成長率は約9%です。年度別で見ると07年は10%、08年は8%、09年は8%、10年は4%、11年は9%の伸びを記録しました。小売業の総売場面積も拡大しており、06年に1200万平方メートルだったものが、11年末には2600万平方メートルと2倍以上になっています。
──トルコの小売市場の高成長は、何がけん引しているのでしょうか?
ナネ トルコの人口は約7500万人ですが、人口の約50%が29歳以下です。つまり、経済に活力があります。それに加えて一人当たりの所得が増加傾向にあるのも市場の成長を支えています。たとえば、一人当たりの所得は06年には7000米ドルでしたが、11年末には1万1000米ドルに増えました。トルコの11年のGDP成長率は8.5%と高く、中国に次ぐ世界第2位となっています。
もうひとつの成長要因として、トルコ国内が政治的にも経済的にも非常に安定していることが挙げられるでしょう。過去10年間、政府は一党政治で、首相も変わっていませんので、政権運営が安定しています。それが安定した経済成長につながっています。
──国内市場が順調に成長していますが、その中で小売業の動向はいかがでしょうか。トルコ市場にはどのような業態がありますか。
ナネ グロサリーではハイパーマーケット(HM)、スーパーマーケット(SM)、ミニマーケット(MM)があります。そのほかにアパレル、家電などあらゆる業態があります。小売市場の売上の半分はグロサリーが占めており、そのうち40%が近代化された小売業の売上です。この40%という数字をEU平均の85%と比較すると、2倍以上に拡大できる余地があることがわかります。トルコでは今後、近代化された小売店が伸びる可能性が大いにあるということです。
市場参入は「大歓迎」
──トルコの国内経済が成長するのに伴い、外資企業の参入も増えていると思います。外資小売業が進出する際に、条件はありますか?
ナネ トルコは対外直接投資(FDI)の受け入れに関しては開かれていて、その開放度の高さは世界でも上位にランキングされています。10年には23位でしたが、11年は13位に大躍進しました。1年で10カ国も抜いたかたちです。実際、2000年には17億米ドルだった海外からの投資額も、11年には157億米ドル、つまり9倍に拡大しました。
先週フィッチ・レーティングス(Fitch Ratings Ltd.)がトルコの格付けを「投資適格級」に引き上げました。ムーディーズや他の格付け会社も同様の評価をすると思われますので、今後はトルコへの投資が増えると予想されています。