イオン(千葉県)は、物流分野の2024年問題解決に取り組むため、グループ共通施策として2024年春から順次、全国約3,300店舗を対象に物流効率改善を前提とした店舗配送方式へと移行すると12月22日に発表した。
仕入、物流、販売の各ステップを一連のプロセスと捉え、サプライチェーン全体のオペレーションを物流効率の視点で再設計することで、配送に必要な車両数の削減やドライバーの負荷軽減を図り、ひっ迫感が強まる物流リソース不足の解消を目指す。
小売業は、開店前や特売日前に物量が集中し、日別の物量差が最大2倍になるなどの物量波動が生じやすく、これが物流面の負荷要因となっている。イオンは、物流と仕入、販売のオペレーションを一体設計することで物流効率を改善するプロジェクトを各地域で進めてきた。各プロジェクトにおける成果の検証や分析を通じて、物流課題解決に必要な効率改善の手応えを得たことから、グループ共通の配送方式として展開する方針とした。
具体的には、4つの施策を順次展開する
- 車両効率を前提とした納品時間枠の設定と日別物量の平準化による積載率の改善
「朝便」「昼便」の区分を廃止し、一つの枠として車両は満載の状態で走ることが前提。また、曜日ごとの物量の平準化する方式へ移行し、車両積載率を改善する。 - AIを活用した配送計画の最適化による必要車両数の効率化
交通状況や店舗別物流状況などをもとにAIで最適ルートを計算し、より少ない車両で配送する。 - 店舗荷下ろし時のドライバー付帯作業の削減
ドライバーが商品を売場まで引き込む納品方式の店舗に対し、店舗荷受場での荷渡しを原則とするルールへ変更する。(夜間納品などの例外を除く) - モーダルシフトやエリア単位での共同配送の推進
長距離輸送においてドライバーの負荷軽減と脱炭素に貢献するモーダルシフト(鉄道貨物の利用など)を強化する。また、地域単位で小売各社の車両の余剰をシェアする取り組みを率先して推進し、各地域の物流リソース不足の解消に努める。
これらの取り組みにより最大約10%の配送効率改善が期待でき、物流の2024年問題に起因するドライバーの労働力不足解消に貢献する。