週末読書おすすめの一冊:この複雑な世界を生き抜くための、鮮明なる指針。
Think Clearly(サンマーク出版発行)
著者:ロルフ・ドベリ/安原実津 訳
複雑化する社会の中で、何がひとの幸せを決めるのか?明確な答えはないにしても誰もがその「ヒント」を欲しているのではないか。
本書はいわゆる自己啓発本でもなければ、ビジネス指南書でもない。
また、こうすべきだ!という正解を示しているわけでもない。
この本を読むことで読者は、「人生をより良くしていくため」のヒントを見つけることができる。
著者のロルフ・ドベリはスイスの航空会社数社で経営者を歴任後、世界最大のオンライン・ライブラリー「getAbstract」を設立。
ドイツ、スイスでさまざまなメディアに連載を持つ作家であり、実業家である。
しかしながら、視点は極めて庶民的である。
チューリッヒでオービスに引っかかったとき。その次の日にはベルンで駐車違反を起こしたとき。
「ベルンで空いている駐車スペースを探すより、南極でベンチを見つける方が容易だ」などと悪態をつきながらも、その怒りをコントロールする術を最新の学術研究をもとに教えてくれる。
人の頼みを断れない「好かれたい病の正体」の考察は非常に面白い。細かい頼みごとにいい顔して受けていたが、思っていたより時間がかかったうえ、「ああ、ありがとう」で終わってしまったこと、誰しも経験があるのではないだろうか?
この問いに対しては、チンパンジーの生態から囚人のジレンマまで、あらゆる学術や研究から、このありふれた問題に対して解決策を提示してくれる。
本書を1冊手元に置いておくことで、不思議と日々起きる問題から細かなモヤモヤまで、文字通り「Clearly」してくれそうだ。