コスモス薬品が売上高1兆円突破! 来期はついに東北進出へ

上林 大輝 (ダイヤモンド・チェーンストア 編集記者)

ドラッグストア(DgS)大手のコスモス薬品(福岡県)が、2025年5月期の連結決算を発表した。売上高が対前期比4.8%増の1兆0114億円、営業利益が同28.3%増の404億円、経常利益が同25.8%増の431億円、親会社株主に帰属する当期純利益が同26.7%増の309億円と大幅な増収増益を達成。過去最高業績を更新している。7月16日、メディア向けに開かれた決算説明会で同社の横山英昭社長は、商品政策のほか、新規エリアへの進出を含めた出店戦略を中心に今後の成長戦略について明かした。

ドラッグストアコスモス南柏店
コスモス薬品の店舗

食品は2年連続で売上比率60%超も、生鮮本格展開には依然慎重な姿勢

 食品を軸とした徹底的なディスカウント路線で成長を続けてきたコスモス薬品。24年5月期は、値上げ圧力の高まる環境下でも可能な限り低価格販売に努めた。横山社長によれば、24年5月期はこの戦略により「既存店売上高が大きく伸長した」が、インフレによる原価上昇分を自社で極力吸収して低価格を維持したため、利益の伸びが鈍化した。

 対して、25年5月期は「インフレ分も価格に若干上乗せした」(横山社長)ことで収益性が改善。営業利益以下の各段階利益は2ケタの伸びとなった。既存店売上高はマイナスとなったが、これは先述したディスカウント強化により、24年5月期の既存店売上高が大幅に伸長した反動であるとしている。

 コスト面ではインフレ圧力に直面した。販管費は同10.3%増と売上の伸びを上回るペースで増加している。要因としては、店舗増加に伴う費用増に加え、従業員の人件費高騰が挙げられる。しかし、横山氏は「オペレーション効率化によってコスト増を吸収している。より少ない人員数で業務をこなせるよう改善に努めたことで(販管費の)伸びを抑制した」と述べており、省力化・生産性向上によって賃上げ分のコストをカバーした格好だ。「今後もローコストオペレーションに磨きをかけていく」(横山氏)と、引き続き徹底した効率化を進めていく方針を示した。

 商品面では、食品カテゴリーの躍進が際立った。25年5月期の食品売上高は同6.2%増の6190億円で、売上高構成比は前期から0.8ポイント増の61.2%に達した。食品比率が6割を超えたのは前期に続き2期連続であり、食品の存在感はますます高まっている。横山社長も「どの部門も売上を伸ばす中で、とくに食品の構成比と伸び率はともに最大」と述べ、「食品がわれわれの集客のエンジンになっている」と話す。低価格な食品で来店客数を増やし、その流れで医薬品や化粧品など他部門の購入につなげていくとしている。

 食品が売上の柱となっているものの、一部店舗で実施していた生鮮食品の販売については慎重な姿勢だ。横山社長は「まだわれわれには十分なノウハウとリソースが無い。本格展開は見送っている」と話した一方で、「生鮮の集客力は魅力的だ。まずは強みであるグロサリーや常温食品で集客を図りつつ、将来的には段階的に取り組む余地があると考えている」とした。

 現在も一部店舗ではコンセッショナリーで生鮮販売を継続しており、「実績のよい店舗については継続を検討し、採算が取れない店舗は撤退していく」(横山氏)という。

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記事執筆者

上林 大輝 / ダイヤモンド・チェーンストア 編集記者

2000年生まれ。埼玉県出身。法政大学文学部英文学科卒業後、地方新聞社の営業職を経て株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア入社。

流通小売の専門誌「ダイヤモンド・チェーンストア」編集部で執筆・編集を行う。

趣味はお笑い鑑賞、音楽鑑賞。一番好きなアーティストは椎名林檎。

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