PLANTの東証1部上場に思う

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 北陸地方を地盤にスーパーセンターを展開するPLANT(福井県/三ツ田勝規社長)は東京証券取引所から1部上場の承認を受け、2013年8月20日付で東証2部から東証1部にくら替えした。同社は「PLANT」「みった」の店名で21店舗を展開、13年9月期は売上高791億円、営業利益27億円を計画する。

 スーパーセンターとは、もともと世界最大の小売企業であるウォルマートの主力フォーマットを指す固有名詞だ。

 大型食品スーパーにディスカウントストアを加えた店舗で標準売場面積は約1万4000㎡。1988年、ミズーリ州ワシントンに第1号店をオープン以来、現在、米国には3158店舗を展開している。衣食住のフルラインで完備する家庭需要のワンストップショッピングの獲得を狙った業態で総アイテム数は約10万――。

 この米国のウォルマートを視察したPLANTの三ツ田社長が1993年に開業したPLANT-2坂井店(福井県)が日本におけるスーパーセンター1号店とされる。

 PLANTは、その後も着実にスーパーセンターの出店を重ね、2003年11月にはPLANT-5見附店(売場面積1万6513㎡)を新潟県見附市に開業した。PLANT-5の「5」は、売場面積5000坪を意味する数字。売上高目標80億円、総投資額20億円、正社員数50人、壮従業員数280人というプロフィールだった。

「地域のすべての需要を満たす品揃え」というビジネスモデルは多くの消費者に支持され、PLANTは時代の寵児として注目され、急成長していく。

 PLANTの躍進が火付け役になり、10年ほど前には、日本でもスーパーセンター開発ブームのようなものが起こった。

  時を同じくして、イオン(千葉県/岡田元也社長)が21世紀の中核事業としてスーパーセンター業態の確立を表明しており、ディスカウントストア企業やホームセンター企業、食品スーパー企業などがこぞってスーパーセンターの開発に名乗りを挙げた。

 しかしブームはブームであり、10年後の現在、スーパーセンターを主力フォーマットに位置づけ、事業展開する企業はそれほど多くは残っていない。

 PLANTにしても、その当時から、早晩、スーパーセンターの展開から撤退するという世俗的な観測が絶えなかった。また、2004年の新潟県中越地震ではPLANT-5見附店、PLANT-5刈羽店(新潟県)が被災し、2007年の新潟県中越沖地震ではPLANT-5刈羽店が閉店に追い込まれるなどの不幸にも見舞われた。

 だが三ツ田社長は諦めなかった。売上高が微妙に増減を繰り返す中で、構造的な安さの打ち出しを追求するとともに、生鮮食品を強化し、ラインロビングを進め、クロスマーチャンダイジングを実践するなどの策を施し、営業利益を安定的に増加させることで、今回の東証1部上場にこぎ着けたのである。

 流通業界は、モノマネが横行する世界であり、企業や業態の消長は激しい。

 しかしながら、スーパーセンターというひとつの業態にこだわりを持ち、「これからはスーパーセンターの時代が到来する」と確信して、先達のいない世界で唯一人黙々と事業を推し進めてきた三ツ田社長の信念の強さは賞賛に値する。 

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