市場縮小でも将来性あり!ダイドードリンコが自動販売機にこだわる理由

2024/08/22 05:57
堀尾大悟
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喉が乾いたら道端で気軽に買える「飲料自動販売機(自販機)天国」の日本。その缶飲料自販機のパイオニアであるダイドードリンコ(大阪府)は、1970年代に卓上型の缶コーヒー自販機を世の中に打ち出して以降、50年以上にわたり日本の自販機ビジネスをけん引し続けている。

近年は購買チャネルの多様化、ライフスタイルの変化などを背景にダウントレンドにある飲料自販機。それでもダイドードリンコの国内飲料の売上の約9割は自販機が支えている。

他にもユニークな商品開発など、飲料メーカーの中でも異色の存在感を示すダイドードリンコ。なぜ今もなお自販機にこだわり続けるのか。そして、これからの自販機ビジネスの可能性とは。2021年より同社を率いる代表取締役社長の中島孝徳氏に聞いた。

国内飲料事業の売上の9割が自販機

ダイドードリンコ社長
代表取締役社長の中島孝徳氏

 ダイドードリンコの2023年度(2024年1月期)決算によると、国内飲料事業の売上高は1,536億円(対前年度比39.9%増)、営業利益43億円(同54.3%増)と、対前年度比で大幅な増収増益を果たした。アサヒ飲料との共同株式移転による自販機事業運営会社「ダイナミックベンディングネットワーク」の設立・連結子会社化による増加効果が数字を押し上げているが、2022年10月、2023年5月、そして同年11月と相次いで実施した価格改定(11月は自販機チャネルの価格改定)の効果も反映された格好だ。

 同社の国内飲料事業の特徴は、なんといっても売上高の約9割を自販機が占める点にある。他の競合飲料メーカーが2~3割、業界最大手の日本コカ・コーラでも約5割という中で、ダイドードリンコの「自販機中心」の数字は突出している。

 1975年に誕生した「ダイドーブレンドコーヒー」を看板商品に、1970年代には国道沿いのパーキングやガソリンスタンドに「卓上型自販機」と呼ばれる小型の自販機を設置し、缶コーヒーを販売したのがダイドードリンコの自販機ビジネスの起源だ。

 1977年には温かい飲料と冷たい飲料を同時に販売できる「ホット&コールド自販機」の登場を機に、全国各地の販売会社(ベンダー)と「ダイドーベンディング共栄会」を設立しネットワークを強化。業界屈指の自販機網とオペレーション体制を築き上げていった。

 その後、1980年代にはサントリー、キリン、アサヒなどビール系の飲料メーカーが続々と自販機ビジネスに参入。さらにその後はコンビニエンスストア、スーパー、ドラッグストア、ディスカウンターなど飲料販売のチャネルが増え、ダイドードリンコの自販機ビジネスをとりまく環境は激変した。

2010年頃を境に、自販機は供給過剰気味になっている」と中島氏は打ち明ける。事実、「一般社団法人日本自動販売システム機械工業会」の調査によると、ピーク時(2005年)には全国に約228万台設置されていた清涼飲料(缶ボトル)の自販機台数は、今日では約198万台(202312月末現在)と、ピーク時に比べて13%減少している。

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