需要予測だけで終わらせない! sinopsが実現する食品ロス削減の最新事例

2023/10/16 10:00
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需要予測だけで終わらせない! sinopsが実現する食品ロス削減の最新事例
高橋良輔 氏

株式会社シノプス
営業部ソリューション1課
高橋 良輔 氏

 

株式会社シノプス(大阪市北区)が提供する「sinops」は小売業界から注目されている流通業向けAIサービスのこと。これまで現場スタッフの勘と経験に頼ってきた「需要予測と発注」をシステム化したことで需要拡大中だ。たとえば、日配、惣菜、パンといった賞味期限短い商品の需要予測・発注を行うことで、業務平準化やロス削減・売上の向上に貢献し、現在106社6,053店舗で活用されている。本セミナーでは、需要予測、賞味期限管理、AI値引など、sinopsで実現した食品ロス削減事例を紹介する。

ITソリューションを通して限りある資源を有効活用

 株式会社シノプスは1987年の創業以来、30年以上もの間、在庫最適化を専門として取り組んできた。現在は、自社で開発した自動発注および在庫最適化システムの「sinops」により、物流診断や改善、棚割等のコンサルタント業務を担っている。
企業理念は「世界中の無駄を10%削減すること」。ITソリューションを通して限りある資源を有効活用することで広く社会貢献するものだ。

 sinopsは1つ売れたら1つ発注するといった「セルワンバイワン形式」ではなく過去の販売実績などから需要を予測し発注を行う「需要予測型」の自動発注サービス。販売実績・販売価格・天候などのデータをAIで分析し客数予測や需要予測、値引率を算出といったクラウドサービスを1店舗・1機能から導入可能だ。「リアルタイムで在庫を把握したい」「パンや惣菜などの賞味期限が短く、販売計画が難しい食品などの自動発注を行いたい」などの希望を叶えるため、在庫圧縮に寄与するだけでなく、スタッフの発注時間の軽減につなげるなど、包括的に“無駄を削減”できる。現在、sinopsを活用する企業は100社を超え、2023年度の「食品ロス削減ソリューション市場、国内シェアNo1」を獲得した。

sinops

AI活用で、担当者の“経験と勘”に頼らない体制づくりを

 本セミナーの大テーマは、食品ロスの削減だが、惣菜カテゴリにおける2019年の市場規模は約10兆円3200億4300万円にのぼる。スーパーマーケットにおける売上構成比は約12%程度とし、コロナの影響で内食・中食のニーズは増加傾向にある一方で、半数以上の店舗で惣菜カテゴリにおいて10%以上のフードロスが発生してるのもまた事実。原因の一つは発注量や品揃え・値引きのタイミングを担当者の経験と勘に依存していたからだ。個人の力量によって過剰な発注、製造、廃棄が発生していたと考えられる。こうした課題を踏まえ、sinopsの惣菜特化型自動発注サービスと適正値引サービスを掛け合わせて運営したとあるスーパーマーケットでは、閉店の21時に惣菜の売れ残りがなくなり廃棄ゼロを実現した。

導入前/導入後

 具体的な実例をあげよう。株式会社ロッキーは、催事向け、季節品や特売品はデータが不十分のためシステムによる自動発注が実施できないという課題を抱えていた。売り場担当者が経験や勘を頼りに発注数を決定するが、最適な発注数を算出するのは困難で、閉店まで売り切れず、値引き対応せざるを得なかった。最適な値引率やタイミングを見極めるためにsinopsを導入したところ、値引き・廃棄ロス率が2.3%、粗利率1.4%改善され、属人化の是正につながった。

 同社は現在、「サプライチェーン全体の最適化」に取り組んでいる。これまでは小売業での無駄を削減することに終始していたが、sinopsの需要予測を活用して在庫圧縮と発注の前倒しを行うことで上流の卸や製造業の無駄の削減にも寄与する。このようにサプライチェーンを包括的にみることで、フードロスの根本的課題を目指す。

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