実質GDP、年6.0%増=輸出けん引、3期連続プラス成長―物価高で消費は減少・4~6月期
内閣府が15日発表した2023年4~6月期の国内総生産(GDP、季節調整済み)速報値は、物価変動の影響を除いた実質で前期比1.5%増、この成長が1年続いた場合の年率換算で6.0%増となった。20年10~12月期以来の高い伸びで、3四半期連続のプラス成長。半導体不足の緩和により生産が回復した自動車などの輸出がけん引した一方、物価高で個人消費は減少した。
実質GDPの実額は年換算で560兆7400億円で、これまで過去最高だった消費税増税前の19年7~9月期(557兆4100億円)を上回った。
輸出は3.2%増と2期ぶりにプラスとなり、全体を押し上げた。自動車の輸出増に加え、統計上は輸出に計上されるインバウンド(訪日客)の消費増も寄与した。輸入は原油や液化天然ガス(LNG)、携帯電話などの減少で4.3%減と3期連続マイナスとなり、GDPのプラス幅拡大につながった。
個人消費は0.5%減と3期ぶりのマイナスとなった。新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが「5類」へ移行したことで外食や宿泊が増加した一方、物価高の影響などで飲食料品や家電製品の購入が減少した。
後藤茂之経済財政担当相は15日の閣議後記者会見で、経済の先行きについて「物価上昇の影響や海外景気の下振れリスクには十分注意が必要」と指摘。個人消費については、雇用・所得環境や消費者マインドの改善などもあり、「持ち直しが続くことが期待される」と楽観的な見方を示した。
設備投資は0.03%増。ソフトウエアなどデジタル関連投資の堅調を受けて2期連続のプラスとなったが、伸びは小幅にとどまった。公共投資は1.2%増で5期連続のプラスだった。
GDPの増減に与える影響(寄与度)は、内需がマイナス0.3%と2期ぶりにマイナス寄与となった。外需はプラス1.8%と2期ぶりにプラスに転じた。
物価変動の影響を反映し、生活実感に近い名目GDPは前期比2.9%増、年率12.0%増だった。
◇4~6月期のGDP速報値
◇実質成長率 1.5 年率 6.0
◇寄与度 内需 ▲ 0.3 外需 1.8
◇主要項目
増加率 寄与度
個人消費 ▲ 0.5 ▲ 0.3
住宅投資 1.9 0.1
設備投資 0.03 0.0
民間在庫 ― ▲ 0.2
公共投資 1.2 0.1
輸出 3.2 0.7
輸入 ▲ 4.3 1.1
◇名目成長率 2.9 年率 12.0
◇GDPデフレーター 3.4
(注)数字は%。民間在庫は寄与度のみ。GDPデフレーターは前年同期比でその他は前期比。▲はマイナス