社会課題の解決をめざす「Fujitsu Uvance」リテール業界向けソリューションを紹介
東京ビッグサイトで2月28日~3月3日に開催された「リテールテックJAPAN2023」において、富士通はリアル展示とオンライン展示を組み合わせたハイブリッド形式で出展した。ブースではサステナブル(持続可能)な世界の実現に向け、社会課題の解決にフォーカスしたビジネスを推進する「Fujitsu Uvance」と、重点注力分野である「Consumer Experience(CX)」を強く訴求。リテール業界の業務課題の解決と新たな価値提供につなげるソリューションを数多く展示した。
【全体ビジョン】
富士通の全社的な事業ブランド「Fujitsu Uvance」
「Consumer Experience」を通じて社会課題解決をめざす
今回の富士通ブースは、2021年10月に発表した全社的な事業ブランドと位置付ける「Fujitsu Uvance」とともに、リテール業界向けに「Consumer Experience(以下、CX)」を通じて社会課題の解決を図るビジョンを大きく掲げていた。
「Uvance」とは“あらゆる(Universal)ものをサステナブルな方向に前進(Advance)させる”という2つの言葉を重ね合わせた事業ブランドだ。サステナブルな世界の実現に向け、消費者への価値提供や社会課題の解決に向けたイノベーションを起こす企業の取り組みをサポートし、ともに社会の課題解決にまで切り込むことをめざしている。
「イノベーションによって社会に信頼をもたらし、世界をより持続可能にしていくこと」をパーパスとする同社は、このパーパス実現に向けて7つの事業分野への注力を打ち出している。注力分野の1つであるCXでは、リテール業界のさまざまな課題を消費者とつながるCXを通じて解決を図っていくことを理解してもらうべく、最新の取り組みや小売業のあるべき姿を様々な手法で表現した。
【リアル展示】
富士通が考えるリテール業界向けビジョンを紹介
5つのテーマでソリューションの提供価値を訴求
新型コロナ感染拡大の影響を受け、3年ぶりとなるリアル出展。2023年の富士通ブースはサステナブルを想起させる木目調と緑のデザインを取り入れた、新たな出会いの場を創出する店舗のようなブースを展開した。
ブースでは、まず入口すぐに「Driving growth, change and sustainability in retail」と題して、富士通が考えるリテール業界向けの将来のビジョンを紹介する大型パネルを掲げていた。「消費者/マーケティング」「サプライチェーン」「街/エコノミー」の3つのレイヤーに対して、5つのテーマを紹介。これまで以上にQOL(Quality of Life)を上げていくための「エンゲージメント」、新たに顕在化している消費者ニーズに応える「ソーシャルグッド」、業務の合理化や自動化でEX(Employee Experience)と企業価値を向上させる「オペレーションエクセレンス」、持続可能な消費生活を支えるバリューチェーンの実現に向けた「レジリエント」、新たなフィールドでも小売が提供する付加価値を探求する「ボーダレス&アクティベート」といったテーマで括り、ソリューションが持つ価値を正しく伝えようと努めていた。
続いて、多様化する顧客ニーズに対応してCX向上を実現するため、様々な購買シーンに焦点を当てた展示が目立った。
たとえば、顧客プライバシーに配慮したカメラ映像のAI 解析により、消費者の行動をデジタルにとらえて店舗運営やデータドリブン経営に活かす「Cognitive Service GREENAGE」だ。店舗内での消費者の動きを分析することで効果的な店舗レイアウトの検討が可能となることや、購買意欲の高いと思われる来店客を事前察知することで販売機会ロスを低減して売上拡大につなげるといった利用価値をわかりやすく打ち出していた。
またマルチプラットフォームに対応し、スーパー・専門店・百貨店など複数の業種機能を統合したPOS ソリューション「TeamStore /DX」も注目を集めていた。お客様の不正操作への対策、柔軟な店舗レイアウトへの対応、応援レジ/接客を想定したデモを、今春リリース予定の「TeamPoS8000(参考出展)」やタブレットへ搭載し実演。ソリューションの特長を体感できるよう工夫がなされていた。レジ待ちの解消や、非対面・非接触でチェックアウトできることから、CX向上につながるとともに、従業員の人手不足解消にも貢献するソリューションとして来場者からの関心も高く、多くの方がデモを体験していた。
そして、リテール業界のデジタルシフトを支援するRetail as a Service(RaaS)として注力する「Flexible Commerce」も来場者の関心を集めていた。ヘッドレスコマース構造を採用し、既存の基幹システムやPOS とのAPI連携によるデータ活用が可能で、実店舗やEC、新たなチャネルへの対応など顧客接点の拡大に柔軟に対応。スマートPOSアプリやネットスーパーアプリ(ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス〈U.S.M.H〉が導入)、スマートカート(参考出展)など「Flexible Commerce」と連携するソリューションも一緒に紹介するなど、顧客接点における提供価値の最大化に資するソリューションとして訴求した。
このほかブース内では、店舗運営や業務を合理化するソリューションや、データ分析によりマーケティングの高度化や食品ロス削減に寄与するソリューションも展開。また、需要予測に基づいたサプライチェーン全体の最適化や、安心安全を実現するトレーサビリティプラットフォームなどEnd to Endでのデジタルシフトを支援するソリューションも紹介するなど、富士通が考える「Fujitsu Uvance」と「Consumer Experience」の世界観を、リテールという切り口で示されていた。
【オンライン展示】
U.S.M.HやトリドールHDなど導入企業がセミナー登壇
オフラインとのハイブリッドで課題解決を提案
オンライン展示では、「Fujitsu Uvance」と「Consumer Experience」のビジョン浸透を図るためのコンテンツがオンラインセミナー形式とデジタル展示形式で約30のコンテンツが紹介されていた。
その中で注目を浴びていたのがオンラインセミナーだ。「先駆者に聞く、リテールDX ~走り方と持続力をつける方法~」と題したセミナーでは、カスミ社長兼U.S.M.H副社長の山本慎一郎氏をパネリストに迎え、現在取り組んでいるデジタル技術を活用した顧客体験の抜本的な変革や基幹システムの刷新を続ける理由について紹介。デジタルを基盤にした構造変革をスピーディに実現する内製化やサプライチェーン全体の改善等について率直な話を聞くことができる。これから本格的にDX に取り組まれるリテール業界の方々の参考になるようなDX推進を実現する方法について具体的なポイントとともに、未来の社会を変えるために小売業が壊すべき壁といった、社会課題の解決をめざす「Fujitsu Uvance」の考えの具現化にも触れており、大変見応えある内容となっていた。
また「トリドールホールディングスのAI 需要予測を活用したDXの取り組み~丸亀製麺への店舗適用事例~」では、「真のグローバルフードカンパニー」を目指す外食大手のトリドールHD執行役員 兼 CIO 兼 CTOの磯村康典氏をパネリストに、同社のDXビジョン、および「丸亀製麺」国内全店舗に富士通の「AI 需要予測サービス」を導入した経緯とその成果を紹介。AI 先端テクノロジーとデータの利活用により導かれた店舗マネジメントの自動化から働き方改革につなげた取組みに加えて、今後目指すべきサステナブルな社会への展望について対談形式で紹介していた。
オフラインの展示ブースの休憩スペースでは、オンラインブースで配信されているコンテンツの動画を配信。ブース内でQRコードを読み込めばオンラインセミナーを視聴できるように工夫するなど、ハイブリッドで来場者の関心を高め、自社のソリューションの認知拡大に努めていた。
今回のブースで富士通はサステナブルな世界の実現に向け、消費者への価値提供や社会課題解決に向けたイノベーションを起こす流通業界の企業を力強くサポートしていくことを明確にした。顧客企業に寄り添い、顧客によって異なる課題解決することに加え、顧客とともに社会課題の解決にまで取り組む意思の強さが感じられた。
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