ローソンがCVSベースで仕掛けるドラッグストア多店舗化フォーマット
JR新横浜駅前に開店した「ローソン 港北新横浜店」は、近隣に多数のドラッグストア(DgS)やCVSとともに2軒の自社競合を抱えている。同社ヘルスケア商品部の岡田靖広部長は「ヘルスケア強化型店舗」について「CVSの『利便性』を従来より向上させた新フォーマット。CVSの利便性には『24時間営業』や『利便性/最寄り性』があげられているが、最近では深夜営業する業態が増加傾向にあることから営業時間の競争力は消えつつある。
しかし『利便性/最寄り性』は健在なので、従来のCVS以上の品揃え・アソートを実現できれば、DgSを含めた競合企業との比較で優位性を保てると考えている」という。2軒の自社競合について、同社の標準的な都市型店舗の商圏は半径354メートルであることを紹介しながら、①同店舗の商圏内には『昼間人口』が多いこと、②充実した品揃えを実現したヘルスケア強化型店舗であることを理由に「既存店と共存できると判断した」と説明している。
同店は「CVS商品+DgS商品+クオール薬局」という、ヘルスケア強化型店舗のなかでも「フルスペックの店舗」として開店したという。調剤薬局では第1類医薬品も販売。「CVS商品+DgS商品」は、標準的なCVSの2倍に相当する約5600SKUの商品が「逆L字」型の店舗で展開されている。DgS商品(OTC、化粧品、トイレタリー品)は入口から死角になる場所にまとめられており、現在は店内に掲示板を掲げて取り扱いをPRしているが、石川寛子店長は「開店から1カ月が経過した現在でも、OTCなどを販売していることに驚かれるお客さまも多い」と語り、DgS商材取り扱いに対する認知拡大を今後の課題の1つにあげている。
なお、DgS商品は「ベビー用紙おむつがない」などカテゴリーごとにメリハリを付けて展開している。化粧品の採用数の少なさも特徴の1つだが、これについて岡田部長は「ヘルスケア強化型店舗では化粧品の展開を強化している店舗もあるが、化粧品は『十人十色』のカテゴリーなので、売場生産性を考え、当店では幾つかのパターンをつくって検証している。それにより、CVSでは洗顔フォームやクレンジングなど使用頻度が高い商品との相性が良いことなどがわかってきた」と話している。
また同店舗の価格政策について岡田部長は、「コモディティー化した商品を販売することから、地域における実勢売価の範囲内で設定しているが、CVSの『24時間、365日購入できる』価値を踏まえて設定しており、決して安さを売りにはしていない」と説明するとともに、既存CVSでも取り扱いのあるトイレタリーについて「いままでの品揃えは緊急時の購買を想定したもので、売価も顧みなかったが、ヘルスケア強化型店舗を通して価格設定や商品のアソート方法により、商品の動きが変化することが理解でき、最近ではCVSでの売価、展開商品、展開方法も変化してきた」としている。
なお、店内には各カテゴリーで特売品が用意されているが、現時点でチラシを入れる計画はなく、売場に来た人だけが発見できる仕組みになっている。
ローソン港北新横浜二丁目店
所在地●神奈川県横浜市港北区新横浜2-5-11/オープン日●9月1日/営業時間●24時間(一般用医薬品販売24時間、調剤薬局10:00?20:00)/店舗面積●119.42坪(売場面積111.92坪、調剤薬局7.5坪)/取扱い商品数●約5600SKU(一般用医薬品=約800SKU、日用品化粧品=約1200SKU)/推定商圏●店舗から半径354メートル