本業は着物のアフターケア!新潟の会社が作った、蚕糸を原料にした意外な新商品とは
新潟県十日町市に本部を置き、着物のトータルケア、和装品の企画製造、「シルク」を切り口としたコスメやサプリメントの販売などを手がけるきものブレイン。同社は2022年8月、公式オンラインショップにて、美容や健康効果に注目されている希少種「みどりまゆ」を使用した全身シャンプーなどを発売した。
着物の総合加工と養蚕事業を展開
1976年に呉服卸売店として創業したきものブレインが、「きものアフターケア」に乗り出したのは1980年のことだ。
着物業界全体が低迷する中、事業開始当時は概念自体が存在しなかった着物の「アフターケア」事業を手がけるようなり、2000年代には ベトナムに縫製工場を設立。着物の縫製から修正、丸洗い、撥水加工といった総合加工をワンストップで提供するビジネスモデルを確立し、着物のアフターケアではトップシェアを握る。
同社ではもう1つのユニークな事業を手掛けている。それが養蚕事業だ。
きものブレインが本部を置く、新潟県十日町は養蚕事業が盛んだったことで知られる。そうした地域特性を生かし、同社は2017年から東京農業大学と連携のもと、無菌人口餌周年養蚕事業を開始。同事業で生産される独自開発の希少種「みどり繭」を使った化粧品や布製品を「絹生活研究所」のブランドで企画・販売している。
絹の生糸は主に「セリシン」と「フィブロイン」いう2つのタンパク質で構成される。このうち、セリシンを組成する18種類のアミノ酸は、肌の表面に存在するNMF(天然保湿因子)とアミノ酸構成がほぼ同じとされ、肌に負担をかけずに保湿する効果が期待できるとされる。その中でも無菌養蚕で生産される「みどり繭」は、通常の繭と異なり、ウイルス・菌がほぼゼロに近く、健康成分・フラボノイドを多く含むことから、化粧品や食品などにも加工できるというわけだ。
そうしたシルク由来の原料を活用したこれまでも石鹸や美容液など展開してきた「絹生活研究所」から2022年8月、新たに発売されたのが、全身シャンプーの「itoguchi(イトグチ)」(500mℓ税込3960円)である。
「みどり繭」を原料に使った同商品は、先述の天然素材セリシンを多く配合。身体や顔、髪に使用可能で、絹の潤いを全身で体感できる。成分の99.6%が自然由来成分(水含む)であるため低刺激であること、高級感のあるベルガモットの香りも特徴だ。